情報通審議会の電気通信事業政策部会は2012年7月24日、第22回会合を開催し、2013年度以降に適用する加入電話網の接続料算定方式についてまとめた接続政策委員会の報告書を了承した。25日にも答申案として公表し、7月26日~8月31日に意見募集を実施する。

 報告書では、2013年から約3年間は、従来から適用してきた長期増分費用(LRIC)方式を使って料金を算定することが適当だとした。ただし、実際の加入電話網の償却済み資産の割合が高まっていることを踏まえ、一部の通信設備の取得価額をより割安に取得したと仮定する補正を実施する。通信量が一定の割合で減少する前提で計算すると、補正なしでは加入者交換局(GC)接続料が3年後の2015年度に6.0~6.4円に値上がりするところ、補正によって5.4~5.9円に抑制できるという見通しを示した。

 ただしLRIC方式については、今回の3年間の適用は認めるものの、本格的な見直しが必要だとしている。LRIC方式は、毎年、最新の通信技術を使って構築できる効率的な電話網の取得価額を算定し、それらの耐用年数で1年分の設備コストを割り出すことで、料金の低廉化を図る算定方法である。

 現実の加入電話網は、すでに新規投資を行っておらず償却済み資産の割合が高まっている。このため「コスト構造の前提条件がそぐわなくなっている」と指摘した。そこで、IP網への移行を前提にしてLRICに代わる次期料金算定モデルを「早期に検討を開始する必要がある」とした。

 その検討にあたっては、加入電話の需要動向などを注視すると共に、NTT東西に対して、2025年までと計画しているPSTNからIP網への移行スケジュールの詳細について、「適切なタイミングでさらなる情報開示が行われることが望まれる」と注文した。