写真1●「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」で講演するセールスフォース・ドットコムプロダクトマーケティング執行役員の榎隆司氏(写真撮影:新関雅士)
写真1●「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」で講演するセールスフォース・ドットコムプロダクトマーケティング執行役員の榎隆司氏
写真撮影:新関雅士
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 セールスフォース・ドットコムでプロダクトマーケティングを担当する榎隆司執行役員(写真1)は2012年7月24日、エンタープライズソーシャル分野の専門イベント「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」(日経BP社主催)のKeynoteに登壇。「ソーシャルで変わる企業のマーケティング」と題して講演した。

 榎執行役員は講演の冒頭で、ソーシャルメディアに関する様々な数字を示した(写真2)。「Twitterの1日当たりのツイート数は少し古い数字で約2億件、直近では4億件にまで増えている。日常的にFacebookを利用しているユーザー数も2億5000万人を超えた。今や、企業もソーシャルメディア活用を考えなければ、流れに乗り遅れてしまう」と強調する。

写真2●セールスフォースの榎執行役員が示したソーシャルメディア関連の数値(写真撮影:新関雅士)
写真2●セールスフォースの榎執行役員が示したソーシャルメディア関連の数値
写真撮影:新関雅士
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 消費者がソーシャルメディアを使いこなす状況下で、企業のマーケティング手法にも変革が必要だと榎執行役員は続ける。「従来は、マス広告を使って商品をいかに派手に見せるかが重要だった。商品の認知から購買に至る過程を企業が全てコントロールできた。今では、消費者が自らTwitterやFacebookで商品を認知し、友人の行動などを参考にしながら購買に至るパターンが増えている」(榎執行役員)。

 この環境では、企業にとって「4P(製品、価格、流通経路、販促の組み合わせ)」や「セグメンテーション(顧客の細分化)」といった従来のマーケティング手法が効きにくいという。企業が購買に至る過程を管理するのも困難になると榎執行役員は指摘した。

 ただし、消費者に商品を販売する企業側の対応は進んでいない。その理由の1つが、ソーシャルメディアに対応するための情報システムや基盤システム、体制作りに対する投資の少なさだという。「消費者はソーシャルメディアとモバイル端末を使いこなしているのに、企業は対応できていないという“デジタルデバイド”が起きている」(榎執行役員)。

ソーシャル関連ベンチャーに積極投資

 榎執行役員は「セールスフォース・ドットコムはここ数年、ソーシャル関連技術に積極的に投資してきた」と強調した。具体例として、Twitter上のツイート内容を収集・解析できる「Radian6」(写真3関連記事)や、Ruby、PHP、Javaといった様々なプログラミング言語で一般消費者向けのソーシャルアプリを開発できるクラウドサービス「Heroku」(関連記事)などを紹介。これらのソフト・サービスは、もともと企業向け営業支援ソフトが主力だったセールスフォースが、ソーシャル時代を見据えて買収したものだ。

写真3●Radian6で4月から6月までの「エアコン」に関する言及量を分析したグラフ<br>気候の変化に沿って増えている。さらに分析を加えると「欲しい」「壊れた」「買い替え」といった内容が多い。
写真3●Radian6で4月から6月までの「エアコン」に関する言及量を分析したグラフ
気候の変化に沿って増えている。さらに分析を加えると「欲しい」「壊れた」「買い替え」といった内容が多い。
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 また榎執行役員は、活用事例についても触れた。例えば米ディズニーは、ディズニーランドの公式FacebookページでHerokuを採用。来園者が撮った写真をキャラクター入りの「写真集」にして共有できるアプリケーションなどを提供している。

 榎執行役員は、「ソーシャル時代を勝ち抜くための“黄金ルール”は1つではない。当社は様々な手法を支援するソリューションを提供していく」と話し、講演を締めくくった。

 日経BP社は7月24日~26日の3日間、「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」(会場:六本木アカデミーヒルズ49)を開催している。