楽天は2012年7月20日、電子書籍リーダー「kobo Touch」の発売を記念したイベントを開催した。会場で挨拶した三木谷 浩史会長兼社長は、前日19日にオープンした電子書店「koboイーブックストア」の売れ行きについて「数は言えないが、国内最大規模と言ってよい」と自信を見せた。電子書籍市場の拡大を目指すと同時に、端末が低価格であることから「学校や被災地への寄付など社会貢献もしていきたい」という方針も示した。報道陣との一問一答は次の通り。
■端末や電子書籍の年内の販売目標は。
数字は明らかにできないが、端末・コンテンツ共に売れ行きは好調。コンテンツは1日1000~2000冊のペースで増えていく予定で、今後も伸びが期待できる。
■間もなく国内参入が予想される米アマゾンにどう対抗していくか。
他社にどう対抗するかは意識していない。自分たちがいかに良いサービスを提供できるかを追求する。着実かつ誠実にサービスの強化を続けていくことで会員の増加につながっていくと考えている。
■出版社にはどう受け止められたか。
楽天が本気で、不退転の決意で取り組んでいると伝え、出版業界にも認められつつある。
■サービス開始後に一部のコンテンツが表示されないなどの不具合があった。
キャッシュサーバーに関する一時的な問題が発生したが、一両日中には完全に解決する。システム上でコンテンツを入手しやすくする改良も加えていく。いずれも時間の問題で、即座に対処する。
中高年の利用者が増えていくと考えられるので、パソコンとの接続など丁寧にサポートしていく必要がある。コールセンターの体制強化を進めていく。
現在はパソコンに接続しないとアクティベートできない。今後はファームウエアを改善し、パソコンなしでも利用できるように改良する。既に技術開発は完了しているため、年内には提供したい。
■7980円という価格で採算は取れるか。
端末の販売数、コンテンツの販売数を勘案して十分に採算が取れるとみている。
■スマートフォンやタブレット端末での表示はいつごろ対応するか。
Android端末については8月か9月までには対応させたい。
■電子書籍のコンテンツは紙の書籍と比べて値段を下げるのか。
koboイーブックストアのオープンに合わせて、独占先行配信の電子書籍コンテンツをそろえた。この中のいくつかは、紙の書籍よりも安くなっている。現実的に電子の方がコストを下げやすいので販売価格は安くなる。出版社も値段を下げることについては理解を示している。