楽天は2012年7月20日夜、電子書籍リーダーkobo touch(コボタッチ、試用レポート記事)の発売を記念するパーティーを開催した。出版業界関係者を中心に約300人が参加した。
楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長(写真1)は冒頭のあいさつで、「我々は“読書革命”を掲げている。電子書籍は必ず国内出版市場の活性化につながる。“本を読まない若者”が活字を読むきっかけになるし、日本の優れたマンガやファッション誌などのコンテンツをアジアや欧米に広めやすくなる。楽天市場がEコマースの世界でやってきたのと同様に、電子書籍の分野でも出版社、作家、ユーザー、我々がエコシステムとして共存共栄できるようにしたい」と話した。
来賓を代表してあいさつした角川グループホールディングスの角川歴彦取締役会長(写真2)は、「三木谷さんから電子書籍の話を聞いた時、私も唐突な感じがしたし、ここにいる(出版業界の)皆さんもそうだったのではないかと思う。三木谷さんの“男気”が日本の出版業界にある種のショックを与えた」と話した。AppleやAmazon.com、Googleなどの米国勢に日本の出版業界が侵食されることに危機感を示しつつ、kobo touchのきっかけとした日本の出版市場の盛り上がりに期待する考えを表明した。
年内にパソコン不要で動作可能に
三木谷社長は、kobo touch端末の販売状況について「(ネット通販ではなく)家電量販店で購入する中高年層の方が想定以上に多く、追加注文が殺到している状況。コールセンターで操作方法をサポートする体制の増強が必要だ」と話した。電子書籍のダウンロード数については「まだ発売から2日目なので何とも言えない。どう公表するべきかも含めてプロフェッショナルな対応をする」とした。
現在のkobo touch端末では、購入後にパソコンで「アクティベート」する初期操作が必須になる。三木谷社長は「欧米で販売しているkobo touchは、今もパソコン無しで動作している。日本版の発売に当たっては日本語対応が大変で、現時点ではパソコン環境を前提にした。2012年末までの早い時期に改良する」と話し、パソコンを持たない人でもkobo touchを使えるように、ファームウエアアップデートで対応することを明言した。
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