米マイクロソフトは2012年7月16日(米国時間)、これまで「Office 15」(開発コード名)と呼んでいた次期Office製品群のプレビュー版を一般公開した。開発中のベータ版に相当するもので、日本語、英語、スペイン語の3カ国語版をダウンロードおよび利用できる。

 日経パソコンは今回、米マイクロソフトの開発担当者に新機能の詳細やそのデザインコンセプトについて話を聞くことができた。ここでは、「Office Professional 2013 プレビュー」(以下、Office 2013)の日本語版を試用しながら、新機能の詳細やそのコンセプトについて解説する。

タブレット端末でのタッチ操作に対応

 Office 2013の大きな特徴は、タッチ操作への対応を図っている点だ。タブレット端末での使用を想定したもので、Windows 8と歩調を合わせた形になっている。Windows 8は、タッチ操作に最適化した「メトロ(Metro)」と呼ぶユーザーインタフェースを採用するが、Officeでもその方向性は変わらない。

「次期Officeをデザインしている最中に、Windows 8やWindows Phone、Zuneでもデザインを進めていた。その中で、Officeについても同じ原則に基づいてデザインすることになった。私は長いことマイクロソフトにいるが、これは初めてのことだ。今まで生産性を高めるソフトウエアは、つまらない機能ばかりにフォーカスしたものだと思われがちだった。しかし、次期Officeの外観や使い勝手は劇的に変わっているので、そういう考えを覆すものになるはずだ」(パートナーデザインディレクター スティーブ・カネコ氏)。

 ただし、全てがメトロに移行するわけではない。今回、デジタルメモソフトのOneNoteとユニファイドコミュニケーションソフトのLyncについてはメトロ版も提供するが、WordやExcel、PowerPoint、Outlookなどについては、従来と同じデスクトップ環境で使うものとなっている。Office 2010と同じ「リボン」ユーザーインタフェースを搭載し、基本的な見た目はOffice 2010と同じ。メトロに合わせてボタンやアイコンの立体的な表現を排し、“メトロ風”のシンプルなデザインに変わった程度だ。

Windows 8のリリースプレビュー版で起動したWord 2013の画面。Word 2010と同じ「リボン」ユーザーインタフェースを採用している
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 とはいえ、タッチ操作に対応するための工夫は随所に見られる。それを顕著に表すのが「タッチモード」の搭載だ。タッチモードに切り替えると、リボンのボタンの間隔が広がり、それぞれの機能をタッチで実行しやすくなる。

画面上端のクイックアクセスツールバーで「▼」をクリック/タップし、「タッチモード」を選ぶと、タッチモードに切り替えるためのボタンを表示できる(上)。これをクリックまたはタップすると、タッチモードに移行する(下)。ボタンの間隔がやや広くなっている
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