写真●The Linux FoundationのOSS Database
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 The Linux Foundationは2012年7月13日、「2011年度オープンソースソフトウェア導入実績調査」の調査結果を発表した。529種のオープンソースソフトウエア(OSS)について日本の大手SI(システムインテグレータ)での利用・検証実績を調査したもので、The Linux Foundationでは「クラウド、仮想化、ビッグデータ関連OSSの導入実績が急速に進んでいる」としている。

 The Linux Foundationは、Linus Tourvalds氏がフェローとして所属するLinux推進団体。「オープンソースソフトウェア導入実績調査」は、The Linux Foundationの日本の大手SIが参加しているワークグループ「SI Forum」が行っている。2008年度から実施しており、今回の2011年度が4回目となる(関連記事)。2011年度の導入実績調査では、アシスト、日立製作所/日立ソリューションズ、富士通/PFU、日本ヒューレット・パッカード、NEC/NECソフト、NTT/NTTデータ、デル、東芝ソリューションの8社(またはグループ)が社内での利用状況を調査した。

 調査結果は、「OSS Database」としてThe Linux FoundationのWebサイト上にデータベース形式で公開されている。データには、IPAが運営するオープンソース情報サイトOSS iPediaの導入事例や、日中韓によるOSS情報サイト「RepOSS」(関連記事)のソフトウエアデータへのリンクも掲載されている。

 クラウドと仮想化の分野では、Eucalyptus、KVM、OpenStack、Xenが「導入実績多数(3社以上が導入)」、oVirt、VirtualBox、Virt-Manager、Nova (OpenStack)、Glance (OpenStack)、OpenNebula、CloudStack、QEMUが「導入実績あり(1社または2が導入)」、CloudForms、CloudFoundryが「検証実績あり」となった。The Linux Foundationsでは「クラウドインフラを構築し、それを活用したサービスビジネスを提供する、などのビジネスモデルが隆盛を極めるなかで、ライセンス費用を要する商用ツールから、OSSのツールへの移行が進んだのではないかと想像される」としている。

 DB・関連ツールの分野では、Apache Hadoop、HBASE、CDH(Cloudera's Distribution including Apache Hadoop)、memcachedといったビッグデータ関連ツールの導入が増加している。またApache Cassandra、Asakusa、CloudBase、CouchDB、InfiniDB Open Source、MongoDBも検証が行われている。

 またOS/ディストリビューションの分野では、「導入実績多数」が2010年度の2種類から、2011年度は7種類へと大幅に増加した。2010年度の「導入実績多数」はCentOSとFedoraの2種。これに対し2011年度はAndroid、CentOS、Debian、Fedora、FreeBSD、Knoppix、Ubuntuが「導入実績多数」となった。「特定のディストリビューションを活用するよりも、ビジネスの内容に応じて様々なディストリビューションを活用する傾向が認められる」(The Linux Foundation)。特にUbuntuは2010年度の導入実績が1社だったのに対し、2011年度は6社と大幅に増加した。UbuntuはOpenStackのリファレンス実装となっていることなどから、The Linux Foundationでは「これまで一般的に評価が高かったデスクトップでの活用に加えて、各社のクラウドインフラへの投資が拡大した結果、エンタープライズでの利用拡大につながったと考えられる」としている。

 The Linux Foundation ジャパンディレクタ 福安徳晃氏は「日経コンピュータ4月26日号の特集『主役交代:ITの未来はOSSが決める』で書かれているように、クラウドコンピューティングやビッグデータなどはOSS の存在なくして成立し得ない。今回の調査は、そのことを改めて裏づけるものになった」としている。

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