写真●Login VSIの画面の一つ(横軸は仮想デスクトップ台数、縦軸は体感性能の指標であるレスポンス時間)
写真●Login VSIの画面の一つ(横軸は仮想デスクトップ台数、縦軸は体感性能の指標であるレスポンス時間)
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 ネットワールドは2012年7月12日、仮想デスクトップ環境をサイジング/チューニングするための負荷テストツール「Login VSI」(写真)を発表した。個々の仮想デスクトップの上でベンチマーク試験を実施することで、1台のサーバーに仮想デスクトップを何台まで収容できるかを調べる。開発会社は、オランダのLogin Consultants。

 個々の仮想デスクトップの上で、Microsoft Officeなどの実際のアプリケーションを利用したベンチマーク試験を実行する。ベンチマークでは、一定のアプリケーション負荷をかけた上で、メニュー操作やファイル操作などの特定の操作を実行し、こうした操作の応答性能を計測する。こうして、仮想デスクトップがきびきび動いているかどうかの指標を、レスポンス時間の値として出力する。

 仮想デスクトップの台数を徐々に増やしながら、個々の仮想デスクトップのベンチマーク値の変化を調べる。ここで、仮想デスクトップの台数が一定値を超えると、ベンチマーク値が急激に悪化する。この時に、CPUやメモリーやディスクI/Oといったサーバーリソースが限界に達していると判断できる。

 ベンチマークテストが計測するのは、仮想デスクトップの体感性能である。このため、Webシステムやデータベースなどの負荷テストとは異なり、C/S通信の応答時間(クエリーに対するサーバー側の処理時間)ではなく、仮想デスクトップ上でのシステム性能ベンチマークの結果を利用する。

仮想デスクトップ上でベンチマークを実行

 ソフトウエアは、大きく二つの要素で構成する。

 (a)一つは、個々の仮想デスクトップ機(Windows XP/Vista/7)の上で動作するベンチマーク用モジュールである。それぞれの仮想デスクトップの上でベンチマークを実行し、結果をログファイルに保存する。独立した仮想デスクトップ機のほか、Windows Serverに導入することで、ターミナルサービスやCitrix XenApp環境のベンチマークも可能である。

 ベンチマークは、標準で11種類のアプリケーションを利用する。Microsoft Office(Word、Excel、Power Point、Outlook)や、Acrobat Reader、7Zipなどである。この上で、任意のアプリケーションを追加することも可能である。動作のさせ方に応じてライトユーザーやヘビーユーザーなど7種類のテンプレートを用意しており、ユーザーの利用実態に近いベンチマークができるとしている。

 (b)もう一つのモジュールは、ベンチマーク試験を一元管理する負荷テストサーバー(ランチャー)である。個々の仮想デスクトップにベンチマークスクリプトを配信し、ベンチマークの起動を指示する。ベンチマーク試験のプロセスには介在しないが、ベンチマーク終了時には結果を収集してグラフ化する。ランチャーは、Windows Server 2003/2008上で動作する。

 負荷テストサーバーのランチャーは、仮想デスクトップに対するシンクライアント(画面情報端末)でもある。個々の仮想デスクトップに、画面情報端末プロトコル(ICA/RDP/PCoIP)でコネクションを張る。ランチャーからの指示で仮想デスクトップ機を段階的に起動させていき、これらの上でベンチマークを実行する。

 1台のランチャーで処理できる仮想デスクトップの台数は50台であり、50台を超える仮想デスクトップを計測する場合は、複数のランチャーを同時に利用する。この形態で利用する際に必要になるログファイルのネットワーク共有モジュールも用意している。

評価版(無償)も用意

 Login VSIには、有償版の「Login VSI Pro」と、30日間限定で仮想デスクトップ50台まで無償でテストできる評価版「Login VSI Express」の二つがある。有償版は2012年秋に出荷を予定しており、評価版は2012年8月からダウンロード配布を開始する。

 有償版のライセンス価格(税別)は、使用期間と仮想デスクトップ台数によって変わる。使用期間は 6カ月、12カ月、24カ月の3種類、仮想デスクトップ台数は500台から。最小構成時(6カ月、500台)の価格は、98万円。

 ネットワールドによれば、Login VSIは、仮想デスクトップ製品のソフトウエアベンダーが使っているツールであり、開発会社が販売代理店を介してユーザー企業向けに提供するのは、今回が世界で初めてという。