写真●2012年7月12日の製品事業説明会で話す小林製薬の小林豊代表取締役社長
写真●2012年7月12日の製品事業説明会で話す小林製薬の小林豊代表取締役社長
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 小林製薬は2012年7月12日に東京都内で開いた製品事業説明会で、医薬品の通信販売事業に新規参入すると発表した。販売開始は2012年9月以降で、当初は対象製品は店頭販売とは重複しない「第3類医薬品」のうち数品目を販売する。注文はインターネットのほか、電話・ファクスでも受け付ける。

 医薬品の通信販売は2009年6月に全面施行された改正薬事法で原則禁止されたが、副作用によるリスクが比較的低い第3類医薬品に限って通信販売が認められている(関連記事)。既にネット専業企業からドラッグストアまで多くの企業が医薬品通販に参入している。競合企業との差異化は容易ではないが、小林豊代表取締役社長(写真)は、「(ネットに慣れ親しんだ)若者層ではなく中高年層に必要な医薬品を販売することで、新たな市場を開拓したい」と説明した。

 小林製薬はネット上の「オンラインショップ」などを通じて健康食品や化粧品などを通販しており、2012年3月期の売上高は103億円。約50万人いる通販会員の大半が50歳代以上の中高齢層だという特徴がある。ここに医薬品を新たに投入することで、他社の通販や店舗販売との競合を避けながら売上高を拡大できると見ている。

「契約内容をきちんと確認する」

 小林社長は同じ説明会で、6月20日発生したファーストサーバのデータ消失障害(関連記事1関連記事2)について、ユーザー企業の立場からコメントした。「ファーストサーバの件で大きな被害は無かったが、製品情報を見られなくなるという困った状況が起きてしまった。一部でもウェブを閲覧できない状況があると、(通販サイトも含めた)全体への信頼性が損なわれる。今後は、きちんと契約内容を確認するようにして、より“精度”が高いサービスを利用するようにしたい」と話した。

 小林製薬は自社ウェブサイトの一部でファーストサーバのクラウドサービスを利用しており、障害発生後に「アイボン」「命の母」など一部ブランドの製品情報サイトが閲覧不能になった。自社で保持していたバックアップデータを使って復旧を進め、6月22日夜までに全サイトが復旧した。通販サイトなどではファーストサーバのサービスは使っていなかった。