埼玉県教育委員会、インテル、CoREFの3者で行った調印式の様子。左から東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)の三宅なほみ副機構長、埼玉県教育委員会の前島富雄教育長、インテルの宗像義恵取締役副社長
埼玉県教育委員会、インテル、CoREFの3者で行った調印式の様子。左から東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)の三宅なほみ副機構長、埼玉県教育委員会の前島富雄教育長、インテルの宗像義恵取締役副社長
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 埼玉県教育委員会は2012年7月9日、インテルと東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)の協力の下、児童・生徒の「21世紀型スキル」を育成するための教員研修「21世紀型スキル育成研修会」を開始すると発表した。

 同研修会は、インテルが世界70カ国で展開している教員研修プログラム「Intel Teach」と、CoREFが実践している協調学習の手法を組み合わせて構築した教員向けの研修プログラム。県立総合教育センターを会場にした3日間の対面研修およびオンラインツールを活用し、2012年度から2014年度までの3年間で310名の教員が受講する予定だ。7月10日に初回の研修がスタートする。

 インテルは1999年から、児童・生徒が自ら考える思考支援型の授業を目指すIntel Teachを展開しており、オンラインツール「Intel Teach Elements」を提供している。同ツールは、プロジェクト型学習の指導手法をオンラインで学べるほか、研修結果の共有などができるもの。今回、日本語化したものを同研修会に提供する。

 またCoREFは、協調学習を柱とした授業改善の推進に取り組んでおり、「知識構成型ジグソー法」と呼ぶ手法を開発。ジグソー法では、指導要領や教科書にある重要な概念を一人ひとりが自分で考え、他人と話し合うことで理解を深め合う。その中で、コミュニケーション能力やコラボレーション能力などを身に付けることができるという。今回は、この手法を教員研修そのものに組み込む。

 発表会で挨拶した埼玉県教育委員会の前島富雄教育長は、「情報教育におけるICT(情報通信技術)機器の位置づけは、学習の対象から学習ツールへと役割が変わる。教員には、ICT機器を学習ツールとして普段の授業に活用させる場面を的確に設定できる指導力が求められる」と語り、教科を問わず、あくまでツールとしてICT機器を活用する授業の実現を目指すことを強調した。

 また「協調学習は、他人の考えを聞いたり、他人に説明したりする活動を中心に、異なる見方を組み合わせて互いの理解を深めたり、課題解決を体験する学習形態だ。21世紀にふさわしい学びの実現には、教員が協調学習の指導方法を習得し、一斉学習、個別学習、協調学習を授業の目的や内容に合わせて使い分けて、指導できる授業力が欠かせない」として、同研修にCoREFの手法を盛り込み、教員自らが協調学習の有効性を実感できるようにした狙いを説明した。

 なお「21世紀型スキル」とは、世界の教育科学者やユネスコ、OECDなどの国際教育機関が連携して考案した、21世紀の国際社会で必要な能力のこと。批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、情報リテラシー、地域と国際社会での市民性など、子供たちが身に付けるべき能力を規定している。