コンサルティング会社のプロティビティと日本オラクルは7月中に、グローバル連結決算プロセスの見える化・改善を支援する「連結決算体制高度化ソリューション」の提供を始める。日本オラクルの連結決算管理ソフトにプロティビティなどが作成したプロセステンプレートを組み込み、導入コンサルティングサービス込みで提供する。グループ全体の連結決算プロセスの早期化やミス軽減、作業効率化が狙いだ。

 連結決算体制高度化ソリューションの中心となるのは、日本オラクルの連結決算管理ソフト「Oracle Hyperion Financial Close Management(FCM)」。連結会計処理を支援する製品群である「Oracle Hyperion Financial Close Suite」(関連記事:「IFRSの時代、連結会計システムは基幹系に」、日本オラクルが新製品を発表)の一つで、「子会社からの会計データの収集」「連結会計処理」「開示」といった一連の連結決算プロセスの管理を支援する。ガントチャートでプロセスを表示したり、タスクに遅れが生じる場合にアラートを出したりできる。

 プロティビティと日本オラクルは今回、FCMに経理・財務プロセステンプレート「FASS(Finance & Accounting Skill Standard)モデル」を組み込んで提供する。FASSモデルは経済産業省の経理・財務人材育成事業の一環として、NTTビジネスアソシエ、日本CFO協会、プロティビティが作成した成果物の一つ。経理・財務の業務を「売掛債権管理」「連結決算業務」「有価証券管理」など36の項目に分け、各項目を構成する業務内容(売掛債権管理なら「売上業務」「債権残高管理」など)に関するプロセスを規定している。

 FCMにFASSモデルをあらかじめ組み込んでおくことで、「経理・財務プロセスを定義する手間を大幅に軽減できる」(日本オラクルのEPM/BI事業統括本部ビジネス推進部の福岡浩二シニアマネジャー)。通常は3カ月程度で導入できるという。ただし、FASSモデルは汎用的なプロセスを規定しており、「企業によっては不必要なプロセスも含まれている」(プロティビティの石川雅信ディレクタ)。このため、プロティビティがFASSモデルと企業の現状との差分を分析し、企業に合った形で導入できるようコンサルティングサービスを提供する。

 ビジネスのグローバル化が加速するに伴い、海外子会社を含めたグループ全体の連結決算を早期化・効率化したいとするニーズが高まっている。プロティビティと日本オラクルの協業は、このニーズに対応したものだ。「多くの日本企業はこれまで、本社の経理・財務担当者の職人芸で何とか連結決算をこなしてきた。しかし、日本の“腹芸”は海外には通用しない。海外を含めた連結決算プロセスの見える化・効率化が欠かせない」(石川ディレクタ)。IFRS(国際会計基準)が適用になった場合は、「なおさら標準化した仕組みが必要になる」(同)と見る。

 連結決算体制高度化ソリューションの料金は、FCM込みで2000万円から。3年間で10社への導入を見込む。