米Yahoo!と米Facebookは現地時間2012年7月6日、両社間で争われていた特許侵害訴訟について和解することで合意したと発表した。両社は互いの訴えを引き下げ、ライセンス契約を締結し、コンテンツ配信に関する関係強化を図る。

 両社間の係争は、Yahoo!のScott Thompson前最高経営責任者(CEO)の強硬姿勢に端を発していた。Yahoo!は2012年3月12日、Thompson氏が中心となってFacebookを特許侵害で訴えた。このときThompson氏は勝訴するか、あるいは和解協議が有利に働けば、Facebookから多額の現金を勝ち取れるとして、Yahoo!の取締役会を説得したとされている。しかし4月にFacebookがYahoo!を反訴するなど、訴訟は長期化の様相を呈していた(関連記事:FacebookがYahoo!を反訴、10件の特許を侵害されたと主張)。

 その後、5月にThompson氏が学歴詐称問題で解任され、Ross Levinsohn氏がYahoo!の暫定CEOに就任(関連記事:米Yahoo!、学歴詐称問題でCEOを解任、Third Pointから3人が取締役に)。6月に入ると両社は和解に向けて協議していると報じられ、米Wall Street Journalの技術系情報サイト「All Things Digital」は数週間以内に和解が成立する見通しと伝えていた(関連記事:米Yahoo!とFacebookの特許係争、和解に向けて協議中、海外メディアの報道)。

 和解合意のもと、両社は特許ポートフォリオに関するクロスライセンス契約を締結し、Yahoo!とFacebookサイト上で消費者や広告主向けに提供される高品質なメディア体験の実現に向けて協力する。またYahoo!サイトでのソーシャル機能統合を通じて、Yahoo!の大規模なメディアイベント情報をFacebookユーザーに配信する。

 両社は「より緊密な協力体制を敷き、今後数年間にわたって複数の注目イベントを展開し、消費者には前例の無い体験を、広告主には世界クラスの協賛機会を提供していく」と述べている。

[発表資料(Yahoo!のプレスリリース)]
[発表資料(Facebookのプレスリリース)]