写真●新日鉄ソリューションズ(NSSOL)の謝敷宗敬代表取締役社長(写真:中根祥文)
写真●新日鉄ソリューションズ(NSSOL)の謝敷宗敬代表取締役社長(写真:中根祥文)
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 「運用負荷が高いITインフラの運用については積極的にアウトソーシングし、代わりに“攻め”のシステム領域へ自社のIT人材を配置していく。これが、これからの成長戦略の鍵になる」。2012年7月4日から6日まで東京・品川で開催中の「IT Japan 2012」で、新日鉄ソリューションズ(NSSOL)の謝敷宗敬代表取締役社長はこう語った。

 国内市場の縮小や災害リスクの上昇、成長する新興国市場への対応やグローバルの生産・供給体制の整備、M&A(企業の合併・買収)の推進――。企業を取り巻くビジネス環境の変化に対し、情報システムを俊敏に対応させていく必要が従来以上に高まっている。だが現実には企業のCIO(最高情報責任者)は、システム構成の複雑化や人員不足などに悩まされ有効打を打てない状況にある、と謝敷社長は指摘する。

 そこで提案するのが「自社のビジネスに直結するような“攻め”のシステム領域にはIT部門のリソースを重点投入して課題解決を図る。それ以外の“守り”のシステム領域ではアウトソーシングを積極活用する」(謝敷社長)という対策だ。“守り”のシステム領域とは業務アプリケーションの安定稼働を支える様々なITインフラのことだ。
 
 謝敷社長は「多くの企業が自社のITインフラをプライベートクラウド環境に統合して一定の成果を上げているようだ。ただしプライベートクラウドを活用すればするほど、CIOやIT部門にとって悩ましい課題も出てくる」と語る。その課題は大きく三つある。

 一つめは、クラウド上で動かすアプリケーションの多様化や仮想化すべきITリソースの拡大に伴って運用が複雑になること。またプライベートクラウドを導入した企業も当面の間はレガシーシステムと併存せざるを得ないという実態がある。これが二つめの課題だ。さらに三つめが、M&A(合併・買収)やグローバルの拠点展開に伴うBCM(事業継続管理)の負担増である。

 これらの課題を解決する手段として企業のITインフラ全体をアウトソーシングする手法が有効だ、というのが謝敷社長の主張だ。プライベートクラウドのように自社専用のITリソースを利用しつつ、運用負荷をより軽減できるようなアウトソーシングサービスを活用すべきだという。
 
 これを実現する具体的なサービスとして謝敷社長は、NSSOLが提供するIaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)の「absonne」を紹介した。「absonneはプライベートクラウドの集合体と呼べるサービス。顧客企業のニーズに応じてITリソースを占有的に割り当てることができる。その裏側では、共通のIT基盤を当社が構築し運用することで知見やノウハウを集積し、サービスを継続的に強化している」と謝敷社長は語った。