写真●「IT Japan 2012」で講演する中竹竜二氏(写真撮影:中根祥文)
写真●「IT Japan 2012」で講演する中竹竜二氏(写真撮影:中根祥文)
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 日本ラグビーフットボール協会でコーチングディレクター兼U20(20歳以下)日本代表監督を務める中竹竜二氏は2012年7月4日、「IT Japan 2012」(日経BP社が6日まで品川プリンスホテルで開催中)の特別講演に登壇し、「リーダーに求められる判断と決断」というテーマで自身の経験を踏まえた独自のリーダー論を展開した(写真)。

 中竹氏はまず、早稲田大学ラグビー部で監督をしていた当時(2006~2010年)、自分が周囲から「日本一オーラのない監督」と呼ばれていたことを紹介。

 「ラグビーの試合では、監督は観客席から見ていて試合後に下りてくるのだが、優勝インタビュー時に毎回警備員に一般客と間違われて制止されていた」というエピソードで笑いを誘いつつ、そうしたカリスマ性やオーラを備えていない普通の人間がリーダーとなったときに何をするべきかを考えることが同氏のリーダー論の骨格となっていることを伝えた。

 続いて中竹氏は、「リーダーとしての大切な仕事とは何か」という問いを発した。その答えとして同氏は、「次なる道を選択すること」という回答を示し、「そのための道具として“判断と決断”を適切に使い分けることが重要」であると主張した。そうした選択の一例として中竹氏は、同大ラグビー部で初めて主将になった21歳のころ、チームのリーダーとして非常に苦しい選択を迫られたエピソードを紹介した。

 「早慶戦の前にエースが怪我をしてしまい、代役として4年生でずっと頑張ってきた選手と、下級生で将来性がある選手のどちらを選ぶかで2週間も悩んでしまった。そのときコーチに強く言われたのが、『とにかく早く決めて早くチームになじませろ』ということ」

 「確かに二人に有意な差がないならば、1日で決めてすぐにチームになじませた方がよかった。これは企業においても同じ。人事査定や組織目標の設定、プロジェクト決定などで迷うことがあるかもしれないが、選択肢に差がないならなるべく早く決断するべきだ。ともするとリーダーは迷った2週間も成果に含めてしまうかもしれないが、それはただの無駄な時間に過ぎない」(中竹氏)