写真1●SkeedSilverBullet Ver.2.1のクライアント画面
写真1●SkeedSilverBullet Ver.2.1のクライアント画面
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 Skeedは2012年7月2日、遠距離でも高速に通信できるファイル転送ソフトの新版「SkeedSilverBullet Ver.2.1」(写真1)を出荷した。新版では、データの格納にAmazon S3互換ストレージを利用できるようにした。遠距離通信の部分をSkeedSilverBulletで高速化することによって、結果としてAmazon S3互換ストレージへのアクセスを高速化できる。

 SkeedSilverBulletは、クライアント・サーバー型で動作するファイル転送ソフトである。遅延時間が大きい遠距離でのTCP/IP通信を高速化するために開発した独自のファイル転送プロトコルであり、FTPやHTTPといった既存のプロトコルの代わりに使う。通信距離に応じて遅延時間が増えても、遅延時間の影響を受けずに済むとしている。

 遅延時間の影響を受けずに通信するため、パケットの送出方法を工夫している。具体的には、受信側からのACKを待たずに、送信側が独自に判断したペースでパケットを送信する。さらに、輻そうを起こさない程度に転送レートを自動調整する。輻そうは、パケットロス率ではなくRTT(Round-Trip Time)の変動によって判断するので、必要以上に転送性能を抑えてしまうことがない。

 ソフトウエアの価格(税別、以下同)は、以下の通り。標準エディションの「Standard」は、「Smart 50」(最大5ユーザー、最大50Mビット/秒)が50万円。「Smart 100」(最大20ユーザー、最大100Mビット/秒)が70万円。「Smart Free」(最大20ユーザー、最大1Gビット/秒)が100万円。一方、上位エディションはオープン価格(非公開)。

 稼働OSは、以下の通り。クライアントソフトの稼働OSは、Windows XP/Vista/7。別途、Java Runtime Environment 6以降が必要。一方、サーバーソフトの稼働OSは、Windows Server 2003/2008、Red Hat Enterprise Linux 5、CentOS 5以降、Mac OS X v10.5以降。

データ格納先としてAmazon S3を利用可能に

 今回の新版では、SkeedSilverBulletのサーバーソフトがデータを格納するストレージとして、ローカルストレージに加えて、新たにAmazon S3互換ストレージを利用できるようにした(Amazon S3やニフティクラウドなどが該当する)。サーバーソフトからAmazon S3互換ストレージに対しては、Amazon S3互換API(HTTPを用いたRESTおよびSOAP)を介してアクセスする。

 新機能によって、データの保存先としてAmazon S3互換ストレージを利用しながら、これらのストレージを遠隔地から高速に利用したい、という要件を満たすことができるようになる。例えば、Amazon S3の場合は、Amazon EC2の仮想サーバー上でSkeedSilverBulletのサーバーソフトを動作させる。これにより、遠隔地同士の通信はSkeedSilverBulletが担い、実際のデータ格納部分としてAmazon S3を利用できる。

 SkeedSilverBulletによる高速化の実例は、以下の通り。Skeedが東京の事業所で実施したAmazon S3に対するファイル転送の性能試験では、SkeedSilverBulletを使わずに直接Amazon S3にデータを格納した場合と比べて、SkeedSilverBulletを介した場合、Amazon S3の東京リージョンで約30倍、米国東海岸リージョンで約40倍の性能向上を確認したという。