米Bloombergは現地時間2012年6月30日、米Microsoftの次期OS「Windows 8」について、米Hewlett-Packard(HP)は当初、ARM版である「Windows RT」を搭載するタブレット端末を市場投入しない方針だと伝えた。HPは当面、x86版Windows 8搭載製品の開発に専念する。HPの広報担当者であるMarlene Somsak氏がBloombergの問い合わせに対し、そう答えたという。

 パソコン世界最大手のHPがx86版に専念するということは、米Intelや米AMDにとっては有利な展開となるが、ARM陣営にとっては後退を意味する。一方、Microsoftにとっては自社マルチOS戦略への協力を、最大規模のパートナー企業から得られなかったことを意味するとBloombergは伝えている。

 次期OSのWindows 8については、Microsoftが同OSを搭載する自社ブランドのタブレット端末「Surface」を市場投入する計画を明らかにしている(関連記事:Microsoft、独自のタブレット端末「Surface」を発表)。

 HPのSomsak氏によると、HPの「当初はx86版に専念する」という方針はSurfaceの発表以前から決まっていたもので、HPは顧客の意見を参考に方針を決定したという。HP製Windows 8搭載タブレットの最初のモデルは、法人市場に向けて出荷する。Somsak氏はその理由について「x86アプリケーションの確立されたエコシステム(生態系)は当面、最高の顧客満足体験をもたらす」と述べている。

  ARM版のWindows RTタブレットはバッテリー駆動時間が長いというメリットがあるが、新たにWindows 8向けに開発されたアプリケーションしか利用できないというデメリットがある。米Wall Street Journalは、パソコンメーカーはこうしたアプリケーションの少なさ懸念しているほか、Windows RTタブレットが消費者市場で受け入れられるかどうかも疑問視していると伝えている。