オリンパスと大王製紙は2012年6月29日、J-SOX(内部統制報告制度)の「開示すべき重要な不備」を公表した。開示すべき重要な不備は、財務報告に関わる内部統制の整備・運用状況が有効でない旨を示すもので、J-SOXの簡素化以前は「重要な欠陥」と呼んでいた。両社とも2012年3月期の内部統制報告書で公表した。

 オリンパスは有価証券投資などの損失計上を先送りし、その解消のために不適切な会計処理を実施したことから、過去の有価証券報告書と2012年3月期第1四半期報告書について訂正報告書を提出。「経営者の業務執行を監督ないし監査すべき取締役会と監査役会が有効に機能していなかった」ことと、「企業風土やコンプライアンス意識の欠如および内部通報制度の不備」をその原因としており、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。

 大王製紙は過年度の会計処理の誤りが判明し、2012年5月に過年度決算を訂正。加えて、2012年度の有価証券報告書を作成する過程で、監査法人から決算・財務報告プロセスの不備を原因とする複数の誤謬に関する指摘を受けた。「一般に公正妥当と認められた会計基準の理解不足」と「会計処理の適正性の確認不足」などがその要因であり、これらの不備は「財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当する」と判断した。

 開示すべき重要な不備を公表した企業はオリンパスと大王製紙を含めて、6月29日17時半時点で10社。6月20日にパスコが公表したのを皮切りに(関連記事:J-SOXの「開示すべき重要な不備」、GISのパスコが公表)、6月25日にタダノ、6月26日に大都魚類、6月27日にプリンシバル・コーポレーション、6月28日に加賀電子、サンコーテクノ、SJI、6月29日にオリンパス、大王製紙、徳倉建設がそれぞれ公表した。

■変更履歴
最終段落に「開示すべき重要な不備」を公表した会社としてタダノと大都魚類を追加しました。会社数は計10社になります。本文は修正済みです。[2012/07/01 01:50]