米グーグルは、2012年6月27日に米国サンフランシスコで開催している開発者会議「Google I/O 2012」で、メガネ型のウエアラブル・コンピュータ開発プロジェクト「Project Glass」による端末を披露した。

写真1●YouTubeで公開されているスカイダイビングの映像
写真1●YouTubeで公開されているスカイダイビングの映像

 基調講演の後半に、同社創業者のセルゲイ・ブリン氏が端末を装着して登場。会場スクリーンには、飛行船内部の映像が投影された。飛行船は、Google I/Oが行われている展示会場の上空を飛行しており、そこから4人のスカイダイバーがGlassを装着したまま飛び降りるという演出だった(写真1)。その後、屋上で待ち受けていたスタッフが、自転車を乗り継ぎ、壁伝いに階下まで降りて端末を会場に届けた(YouTubeで公開されているスカイダイビングの映像)。

 この間、端末のリレーに参加したスタッフの映像は会場で共有された。このデモを通じて「見ているものをすべて共有できる」(ブリン氏)ことをみせた。登壇した端末デザイナーは、被写体との間で視覚的に邪魔にならないようにしたという設計思想を説明した。

 Google I/O 2012に参加している米国在住の開発者に限り、Glassを事前発注できる。価格は1500ドル。

 このほか初日の基調講演はAndroidが中心。2011年に1億に達した累計アクティベーション(起動)数が、2012年には4億台に達したこと、1日あたりでは100万台になっていることなど、現況を報告したうえで、最新のAndroid OS「4.1」(開発コードはJelly Bean)を発表した(関連記事:Google、次期モバイルOS「Android 4.1」は7月半ばにOTAアップデート開始)。

写真2●7インチ型のタブレット端末「Nexus 7」
写真2●7インチ型のタブレット端末「Nexus 7」
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 Android 4.1では、描画性能やカメラ機能を向上したほか、ホームスクリーンのWidgetサイズの最適化、辞書機能や音声入力、Android Beam(端末間通信)、Notification(通知)、自然語検索の改善などが行われた。新機能としては、リアルタイム情報に基づいた情報提供「Google Now」が発表された。4.1のSDKは同社の開発者サイトから入手できる。

 さらに、アプリストア「Google Play」でもApp EncryptionやSmart App Updateなどいくつかの機能追加が行われた。ハードウエアのパートナー企業向けの開発キットとして、PDK(Platform Developer Kit)が発表された。OSの新版の2~3カ月前に入手できるとする。

写真3●家庭向けのクラウド端末「Nexus Q」
写真3●家庭向けのクラウド端末「Nexus Q」
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 端末としては、タブレット端末「Nexus 7」と「Nexus Q」が発表された(写真2写真3)。Nexus 7は、7インチ型のディスプレイを備えた端末で、ビデオや電子雑誌を閲覧しやすくした(関連記事:Google、自社ブランドのタブレット端末「Nexus 7」を発表)。製造は台湾アスーステック・コンピューター。価格は199ドル。Nexus Qは「プロジェクトタングステン」と呼ばれていた「電子機器とクラウドを組み合わせた」(同社)家庭向け端末で、映像や音楽を家庭のテレビやオーディオ機器で再生する。球状の外形が特徴的だ(関連記事:Google、ストリーミング・メディアプレーヤー「Nexus Q」を米国で発売)。価格は299ドル。いずれも7月中旬に出荷を始める。

 このほか、同社のソーシャルメディアGoogle+の現状報告と「Google+Events」など機能追加が説明された。基調講演の最後には、開発者イベントで恒例になっている端末のプレゼントが発表された。「Android Developer Pack」として、Galaxy Nexus、Nexus 7、Nexus Qの3端末が来場者全員に配布される。

Project Glass: Live Demo At Google I/O