写真1●NTT持ち株会社の鵜浦博夫社長
写真1●NTT持ち株会社の鵜浦博夫社長
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写真2●会見で示したスライド
写真2●会見で示したスライド
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 NTT持ち株会社は2012年6月22日、新社長の就任会見を開催した(写真1)。

 会見を行った鵜浦博夫新社長は冒頭、一枚のスライドを映し、「2004年当時の中期経営戦略を作成した際、発表の直前にこの文言を挿入して当時の和田社長に読み上げてもらった」と説明(写真2)。「これからも、安心安全な信頼される企業としてお客様のお役に立ち続ける、という気持ちを忘れずに取り組みたい」と、就任の心境を述べた。

北米で夏にも統一ブランドを導入

 続いて、これからのNTTグループの向かう方向性を表す、新社長個人の考えとして説明したのが以下の三つのキーワード、「Next value partner」「Transformation」「Total solution」である。

 NTTに語呂合わせをしたこれら三つのキーワードが表すのは、「クラウド中心の時代になった今後も、信頼され続けるパートナーとして、ユーザーの変革をお手伝いし、そのためにアプリからデータセンター、ネットワーク、システムの保守までトータルで低コストのサービスを提供していきたい」ということだと説明した。

 続けて、北米で今後、NTTグループ企業共通の統一ブランドを立ち上げる考えを明らかにし、「このキーワードは、そのブランド名の後にNTTグループであることを補足する言葉としても使いたい」(鵜浦社長)とした。

 北米地域には、NTTグループ傘下の企業として、NTTアメリカ、キーン、ディメンションデータ、オプソースなど多様なIT企業がある。これらの企業グループが協業してユーザー向けのトータルソリューションを提供する際、統一ブランドを使うことを検討しており、夏頃にも立ち上げる考えだという。

経営戦略はターゲット年度を決めずに策定へ

 質疑応答では、国内事業で固定事業と移動通信事業の連携が取りにくい点などの対応策について質問が出た。

 これに対しては、「固定と移動の連携は、単なる料金バンドルだけが取り得る施策ではない。サービスとしてアクセス手段が固定か移動かを意識せずに使う時代になっていく。これをどうお届けするかを考えたい」とした。

 また関連して、国内の各グループ会社に対しては「長期に利用していただいている既存顧客をもっと大切にすることが基本」という考えを共有していく、と説明した。

 一方、国際戦略についてはクラウド中心の時代に向けて必要と判断すればM&Aによる体制強化を図るとした。「セキュリティ面などについては、既存事業のコアコンピタンスだけでは足りないと感じており、強化していきたい」とした。

 今後、取りまとめていく鵜浦体制下での中長期的な経営戦略については、「これまで作成してきた戦略は、2010年度、2012年度とターゲット年度を決めて目標設定してきた。だがこれからは変化が激しく、むしろ目標は各課題ごとに設定するべきではないかと考えている。例えば成長分野を育てるにはレンジを長く取るべきではないか、音声などのレガシー事業についてはどうすべきか、などこれから検討していきたい」とした。