NTTコミュニケーションズ(コム)は2012年6月21日、東名阪の商用光ファイバーネットワークにおいて「100Gbps-DWDM」伝送の実証実験に成功したと発表した。商用網を用いた伝送は国内で初めて。伝送装置はNECと富士通が供給した。

 DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing、高密度波長分割多重)では、1本の光ファイバーの中に数十チャネルの波長を多重化して送受信する。今回、「デジタルコヒーレント」と呼ぶ次世代伝送技術を用い、波長当たりの伝送速度を100Gビット/秒に高速化することに成功した。NTTコムは現在、主に「10Gbps-DWDM」と「40Gbps-DWDM」を用いており、基幹網の伝送容量は1.6Tビット/秒。100Gbps-DWDMの導入で5倍以上の8Tビット/秒(100Gビット/秒×80波多重)に広帯域化できる見込み。早期実用化を目指す。

 同社は昨秋、日米間を結ぶ「PC1ケーブル」で世界に先駆けて、デジタルコヒーレント技術を用いた100Gビット/秒伝送の実証実験に成功済み。海底ケーブルの場合はケーブルシステムごとに光ファイバーの条件がほぼ一定なのに対し、陸上の長距離伝送網の場合は条件の異なる光ファイバーが混在しているため、実現が難しかったという。光ファイバーの条件のばらつきや変動などに対応できる伝送設計を施して3~5月に実験を実施。全国の基幹網に導入できるだけの十分な光伝送特性を確認できた。