中東を中心にサイバー攻撃を仕掛ける高度なマルウエア「Flame」は、イランの核兵器開発を遅らせることを目的に米国とイスラエルが共同開発したものだったと、米紙「Washington Post」が現地時間2012年6月20日に報じた。

 Flameはネットワークトラフィックの傍受、スクリーンショットの保存、音声通話の記録、キー入力の不正送信といったさまざまな盗聴機能を備えたマルウエアで、5月に各国のセキュリティ関連会社などによって確認された。ロシアのKaspersky Labは、「これまで検出した中で最も複雑なマルウエアの1つ」と述べている。5月末時点で、Flameを用いた攻撃の報告が、イラン、イスラエル、スーダン、シリア、レバノン、サウジアラビア、エジプトなどから600件寄せられている(関連記事:高度なターゲット型マルウエア「Flame」、政府主導の攻撃か)。

 事情を知る複数の西側当局者の話として報道されたWashington Post電子版の記事によると、Flameはイランのコンピュータネットワークを密かに調査および監視し、サイバー戦争に備えるために間断なく情報を送り返していた。米国家安全保障局(NSA)、米中央情報局(CIA)、イスラエル軍も関与しており、核施設を狙ったマルウエア「Stuxnet」を使ってイランのウラン濃縮装置に障害を発生させることも計画に含まれていたという。

 Stuxnetについては、米紙「New York Times」が6月1日に、米国とイスラエルが「Olympic Games」と名付けた共同作戦において開発したものだと報じていた。FlameもOlympic Games作戦の一環で、5年以上前から開発が進められていた(InfoWorldCNET News.comの報道)。