写真1●Data Mobility Switchの外観
写真1●Data Mobility Switchの外観
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 日商エレクトロニクスは2012年6月19日、広帯域WAN(1G~10Gビット/秒)向けにTCP通信を最適化するWAN高速化装置「Data Mobility Switch」(以下、Infineta DMS、写真1)を出荷した。ストレージのレプリケーションのように、コネクション数が少なくコネクションごとに広い帯域が必要な用途に適する。開発会社は、米Infineta Systems。

 製品構成は、WAN高速化の対象となるネットワーク帯域に応じて、4種類のモデルを用意した(いずれも2Uラックマウント大で総スループットは20Gビット/秒)。それぞれの価格(税別)は、以下の通り。高速化するトラフィックの帯域が1Gビット/秒の「DMS-1」は、1000万円。2Gビット/秒の「DMS-2」は、1500万円。5Gビット/秒の「DMS-5」は、2500万円。10Gビット/秒の「DMS-10」は、4000万円。

 Infineta DMSは、WAN超えの通信を高速化するWAN高速化装置である。高速化の手段は大きく、(1)TCP最適化、(2)優先制御、(3)重複排除・圧縮---の三つ。これらの処理を、ソフトウエアではなく専用ハードウエアを使って並列に処理している。装置内の通信遅延時間は、約50マイクロ秒以下としている。

 (1)TCP最適化では、回線の帯域幅とほぼ同じスループットが得られるように、TCPの輻そう制御(ウインドウサイズの変更、確認応答の頻度、スロースタートなど)に介入するほか、送信レートを動的に調整する。例えば、WAN回線でのパケット廃棄率の影響(ウインドウサイズの減少など)をC/Sアプリケーションが受けないようにする。

 (2)優先制御(QoS)では、トラフィックに有線順位を付けて送信する。トラフィックの識別は、送信元/宛先IP、ポート、プロトコル、VLANなどの情報やカスタムルールで定義する。個々のトラフィックごとに、WAN高速化の実施の有無や有線順位を設定できる。キューイング方式はDDR(Deficit Round Robin)。

 (3)重複排除・圧縮では、まず転送データについて、8バイトという小さなデータ単位で、データの重複を判断する。重複データを検索する範囲は不明である。「一般的な重複排除アルゴリズムの単位(数Kバイト)と比べて重複排除効果が高い」としている。一方、圧縮は、高速化処理後に転送するデータブロックの単位で圧縮する。