気晴らし上手だがあきらめも早く、感情的になりやすい――。メンタルマネジメントのアドバンテッジリスクマネジメントは、2011年11月から12月にかけ、中国人のビジネスパーソン約1万人を対象に、ストレス耐性やメンタルタフネスに関する調査を実施。上記のような傾向があることが明らかになった。

 アドバンテッジリスクマネジメントは2011年11月に中国・上海に法人を設立し、社員のストレスチェックや組織診断コンサルティングなどのEAP(従業員支援プログラム)を提供している。日産自動車と東風汽車有限公司の合弁会社である東風日産乗用車公司が同社のEAPサービスを採用している。

 今回の調査では、同社のメンタリティ測定モデルに則って、中国人ビジネスパーソンのストレス原因や、メンタルタフネス度を分析し、日本人の平均と比較した。それによると、中国人は仕事の量に対してストレスを感じる割合が日本人より低い一方、プライベートや上司のリーダーシップ、仕事での評価に対して日本人よりも強いストレスを感じていた。「中国では20代後半の管理職が多いが、マネジメントスキルが不足しているため、上司への不満がストレスに結び付きやすい。またプライベートを大切にする文化があるため、その負荷がストレスに直結する傾向が強い」と神谷学取締役兼執行役員は分析する。

 ストレス原因を解消する意欲は高く、酒を飲むなどの気晴らし行動を積極的に取る。一方でストレス原因を克服するのが難しい場合にはあきらめが早く、怒りなどの感情を表しやすいという結果が明らかになった。

 ストレス原因を克服するため、周囲に相談することも多く、上司や同僚、家族、友人などからのサポートを得ていると感じている割合も日本人より高かった。神谷氏は「中国はソーシャルサポートが強く、企業でも他人に関心を持ち、コミュニケーションをよく取って周囲で支える文化がある」と話す。

 中国では、2010年5月に特定企業で自殺者が相次いだことが社会問題となったのを受け、2011年6月には中央政府が企業におけるメンタル対策を義務付けた「精神衛生法」を立案した。現時点で法制化はされていないが、上海や北京、杭州などの大都市では精神衛生条例が制定され、心理カウンセリングなどのサービスも始まっている。