写真1●Isilon X400の外観(最小導入構成は3ノード)
写真1●Isilon X400の外観(最小導入構成は3ノード)
[画像のクリックで拡大表示]

 EMCジャパンは2012年6月18日、クラスタリング接続によって容量と性能を拡張できるスケールアウト型NASストレージ「Isilon」の新機種として、1ノード当たりの搭載ディスク数を既存機種の3倍に増やした「X400」(写真1)を出荷した。性能よりも容量を重視するケースに向く。価格は、1ノード当たりデータ容量36Tバイトで1488万1700円(税別、以下同)から。

 Isilonは、分散ファイルシステムを採用したスケールアウト型NASである。複数のノードで構成するクラスター全体で単一のファイルシステムを運用できる。ノード間接続はInfiniBandで、最小3台~最大144台まで拡張できる。ノード数を増やせば、容量とアクセス性能が向上する。文書ファイルやマルチメディアデータなどの非構造化データの格納に適する。

 現行機種の「X200」は、米EMCによる米Isilon Systems買収後に登場した新機種である。国内では、2011年4月に最小構成446万円で出荷を開始した。2Uのきょう体に、3.5インチSATAディスクを最大で12台搭載する。ディスクの種類(500G/1T/2T/3Tバイト)に応じて、ストレージ容量当たりのアクセス性能(ノード数で決まる)を調整できるようにしている。

 新機種のX400は、1ノード当たり最大36台と、X200の3倍のディスクを搭載できる(きょう体の大きさは4Uで、2UのX200と比べて2倍に抑えている)。X200と同様に、ディスクの種類(1T/2T/3Tバイト)に応じて3モデルを用意。3Tバイトディスクを用いた場合の最大構成時(144ノード)のデータ容量は、X200の5.2ペタバイトに対して3倍の15.5ペタバイトになる。

 一方、ノード当たりのアクセス性能を決定付けるコントローラー部分(CPU)の性能は、X200とX400でほぼ同一。つまり、同じデータ容量であれば、3倍のノード数になるX200の方が、アクセス性能が高い(価格も、同一データ容量であればX200の方が高い)。ただし、キャッシュ用のメモリーサイズは、X200の最大48Gバイトから192Gバイトへと4倍に高めており、データ容量当たりのキャッシュサイズはX400の方が大きい。

 また今回、X400と同時に、コントローラー部分の性能を落とすことによって低価格化を図ったニアライン用途の新機種「NL400」も出荷した。ニアライン用としては、Isilon Systems買収後では始めての新機種となる。NL400は、X400と比べると、ストレージ部分は共通で、ノード当たりのアクセス性能を決定付けるコントローラー部分の性能を抑えている。1ノード当たりの価格は、データ容量36Tバイトで、X400の約半額となる781万6200円から。