米Motorola Solutionsと英Psionは現地時間2012年6月15日、Motorola SolutionsがPsionを買収することで合意したと発表した。Motorola SolutionsはPsionの全株式を1株当たり88ペンス(約1.36ドル)の現金で買い取る。買収総額は約1億2900万ポンド(約2億ドル)にのぼる見込み。手続きの完了は、2012年第4四半期を予定している。

 Psionは産業用デジタル端末およびアプリケーションを手がける企業で、英国ロンドンに本社を置く。50カ国以上に顧客を持ち、約830人の従業員を抱える。2011年の売上高は1億7600万ポンドだった。Motorola SolutionsはPsionの耐久性に優れた産業用端末と車載装置を獲得することで、企業向けモバイルコンピューティング事業の強化を図る。

 Motorola SolutionsはすでにPsionの株式の9.999%を保有しているほか、一部株主から16.88%の株式を買い取る確約を取り付けている。

 1株当たり88ペンスという提示額は、Psion株の前日の終値である60.5ペンスに約45%のプレミアを上乗せした金額で、過去半年間の平均株価である52.9ペンスより約66%高い。

 Psionはかつて消費者向けデジタル端末も手がけていた。1984年に発売した「Psion Organiser」は同社の代表製品となり、特に「Organiser II」は80年代に英国で大きな人気を博した。

 OrganiserのOSはのちに「Symbian OS」と名称が変更され、PsionとMotorola Solutionsの前身であるMotorola、およびフィンランドNokia、スウェーデンEricssonなどが1998年に合弁設立したSymbianにおいて同OSを搭載したスマートフォン開発が進められた。しかしPsionは2004年にSymbianの保有株をNokiaに売却し、スマートフォン事業から撤退した(英Financial Timesの報道)。現在はNokiaもSymbian事業を手放し、スマートフォン製品の主要プラットフォームを米Microsoftの「Windows Phone」に切り替えている。

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