2012年6月14日と15日に行われた「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット2012 Spring」の初日を締めくくったのが、「起業家・経営者が語る『経営論』」と題したパネル・ディスカッション。サイバーエージェント代表取締役社長兼CEOの藤田晋氏が次々と繰り出す質問に、パネリストのGMOインターネット代表取締役会長兼社長 グループ代表の熊谷正寿氏、ディー・エヌ・エー(DeNA)代表取締役社長の守安功氏、MOVIDA JAPAN代表取締役社長兼CEOの孫泰蔵氏、リクルート代表取締役社長の峰岸真澄氏が的確に、ときに冗談を交えながら答える、見ごたえ聞きごたえあるセッションになった。以下では、主なやりとりを紹介する(質疑応答の順番は変更して再構成した)。

DeNA守安氏に聞く、急成長企業が直面する課題

藤田 話題のビルに移転するなど急成長を続けるDeNAだが、将来的に大企業病の懸念はあるのか?

守安 オフィス移転だけでなく、人が増えてきたので懸念はある。事あるごとに「スピード」「変化に対応」を言い続けて、トップとしてそうならないようにやっていきたい。

藤田 ある事業が成功すると、その事業にリソースを回さないといけないので新しい取り組みがしにくくなる。DeNAではどうしているのか。

守安 新しいもの生み出したいが、成功率は高くない。3回に1回はヒットを打てるように目指している。一方、ソーシャルゲームは、今の日本で唯一勝てると思って集中している。社内でのバランスは、常に悩ましい。

藤田 DeNAでは、海外拠点の位置付けをどうしているか。

守安 連結対象のグループ企業を含めて1000人弱が日本国外にいる。日本と海外の社員数が同じくらいになっている。短期的な成果を考えるなら日本だけでやる方がいいが、中長期的に企業が強くなることを考えると、現地のコミュニティに入り、ニーズを知り、人材を確保することが必要だ。

来場者 自分はエンジニア出身で、エンジニアをどうやって育てていくか考えている。獲得すべきか育成すべきか。

守安 大学卒業後オラクルに入った。半年間の研修を含めてその経験が自分自身の成長に役立った。そこで、DeNAでは新卒の半分はエンジニアにして、最長半年の研修期間を設ける。半年経たなくても、一定水準をクリアしたら現場に配属するようにしている。社内で営業職を経験した人に、エンジニア研修をさせることもある。