写真1●報道陣の質問に答える日本IBMのマーティン・イェッター社長
写真1●報道陣の質問に答える日本IBMのマーティン・イェッター社長
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写真2●IBM東京ラボラトリーの開所式に参列する日本IBMのイェッター社長(右から2人目)と、橋本孝之会長(同1人目)。顧客企業や国内ITベンダーの幹部なども参加した
写真2●IBM東京ラボラトリーの開所式に参列する日本IBMのイェッター社長(右から2人目)と、橋本孝之会長(同1人目)。顧客企業や国内ITベンダーの幹部なども参加した
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 日本IBMの社長に就任したマーティン・イェッター氏は2012年6月15日、日経コンピュータなど報道陣のインタビューに初めて応じた(写真1)。2011年12月期の連結売上高が8681億円と08年12月期の4分の3、最終損益が272億円と同3分の1に事業が縮小する中、「売り上げを重視し顧客とともに成長していく。売り上げが伸びないと利益も出ない」(イェッター社長)と宣言した。

 イエッター社長は米IBMの本社中枢部門で全IBMの経営戦略策定を手掛ける「コーポレート・ストラテジー担当バイス・プレジデント」だった。このため日本の対象顧客を、グローバルに展開する規模の大きな企業に絞っていくのではないかとの見方がある。

 これに対してイエッター社長は「日本の大企業のグローバル化はもちろん、中小規模の国内事業の顧客企業も支援していく」と説明。「そのため東京以外の日本各地に事業所を置いており、国内市場も重視している」とした。5月15日の社長就任を挟んで約2カ月間、大企業だけでなく中小の顧客企業の経営者を合計70人訪問したという。

 就任後に大規模な人員削減など、日本IBMのリストラを行うのではとの観測については「それはプレスが言っているルーマー(噂)だ。報じたプレスに聞いてくれ」と柔らかい表情で返した。

 イェッター氏は同日、東京・豊洲事業所に開設した研究開発製造の拠点「IBM東京ラボラトリー」の開所式に参列した(写真2)。「次なる50年に向け、学習機能を持つコンピューティングなど、社会や企業に貢献する先端技術を提供していきたい」と挨拶した。

 IBM東京ラボラトリーには、大和事業所から基礎研究やソフト・ハードの研究開発部隊が移転する。「都心で、教育機関や企業、政府などと研究開発で連携を強め、貢献していきたい」(イェッター社長)。大和事業所には、IBMのアジア初の基礎研究拠点であったIBM東京基礎研究所、ノートパソコンのThinkPadを生み出したハード開発部隊も在籍した。13年3月に完全に閉鎖し、27年間の歴史に幕を閉じる。