ブロケード コミュニケーションズ システムズは2012年6月13日から15日まで幕張メッセで開催されているICT関連の展示会「Interop Tokyo 2012」の「OpenFlow ShowCase」において、OpenFlowプロトコルを使ったストリーミングのライブデモを披露している。
デモ環境では、ブロケードのスイッチ製品「Brocade NetIron CES 2000」2台(写真1)と、日本ヒューレット・パッカードの「HP ProCurve 3500yl」、エヌ・シー・エル・コミュニケーションが提供する「PICA8 Pronto 3295」をそれぞれ1台ずつ接続。いずれもOpenFlowプロトコルのバージョン1.0に対応させたハードウエアスイッチである。この4台のOpenFlowスイッチに対して、オープンソースのソフトウエアスイッチ「Open vSwitch」のovs-ofctlコマンドでOpenFlowのフローエントリーを書き込み、制御している(写真2)。
ブロケードのスイッチのうち1台(写真3のスイッチ[1])にストリーミング配信用サーバーをつなぎ、残り3台のスイッチ(写真3のスイッチ[2]、[3]、[4])にはストリーミング受信用のパソコンを接続した構成になっている。
デモはパケットの経路が「従来のプロトコルと同じ」か「異なる」か、送信ルートが「一つ」か「複数」かによって4種類ある。1個めは、単一のあて先だけにフレームを転送するというもの(写真3の左上「ユニキャスト」)。2個めは、最短ルートではなくあえて最も遠い迂回経路を通ってフレームを転送するというものだ(同左下の「迂回ルート」)。3個めは、ストリーミングサーバーから動画を配信すると、3台のパソコンで同じように受信できるというもの(同右上の「マルチキャスト」)。4個めは一つのパソコンに対して、複数の経路を通ってフレームを届けるというもの(同右下の「マルチパス」)である(写真4)。
実は、ストリーミング受信用のパソコン3台には、まったく同じIPアドレスとMACアドレスを設定し、ストリーミングサーバーは常に同じMACアドレスあてにフレームを送信しているという。「これまでの一般的なIPやイーサネットのネットワークでは、同じMACアドレス、IPアドレスの機器が同一ネットワーク上に存在すると正常に通信できないが、OpenFlowを使った環境では問題なく動作する」(同社説明員)。例えば3個めに挙げた「マルチキャスト」のデモなら、ストリーミングサーバーを接続したOpenFlowスイッチに「特定のMACアドレスあてのフレームを受け取ったら、ほかの3つのスイッチがつながった物理ポートからフレームを送り出す」というフローエントリーを書き込み、他の3つのスイッチには「特定のMACアドレスあてのフレームを受け取ったら、パソコンのつながった物理ポートにフレームを転送する」といったフローエントリーを書き込んでおくと、こうした動きが実現できる。
ブロケードではこのほかに、同社のコアルーター「Brocade MLX」シリーズを使った100Gビット/秒対応のOpenFlowスイッチも展示している。なお、NetIron CESシリーズ、MLXシリーズともに、製品版で正式にOpenFlow対応するのは次のソフトウエアバージョンアップのタイミングだという。
記事公開当初、コアルーターの製品名が一部間違っておりましたが、正しくは「Brocade MLX」シリーズです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/06/18 16:20]