写真●W3Cのジェフリー・ジャフェCEO
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 「次世代のWeb技術がイノベーションを引き起こす」---W3C(World Wide Web Consortium)のCEO ジェフリー・ジャフェ氏は2012年6月14日、ICT分野の総合展示会「Interop Tokyo 2012」で講演。最新のWeb技術がビジネスに与えるインパクトを展望した。

 W3CはWeb技術の策定や標準化を手がける非営利団体。次世代Web技術「HTML5」の標準化作業を進めている。「標準の勧告は2~3年後(2014年~2015年)を予定している」(ジャフェ氏)。HTML5では、機能性の高いWebアプリを実現する仕組みや、ブラウザやデバイス間の互換性を確保する仕組みなどが強化されている。仕様の一部はすでに主要なWebブラウザが取り入れており、HTML5を使ったWebサイトも増えている。

 「過去20年間を振り返ると、Webを通じて産業界に大きな変革が起きた。HTML5によって、これまでと同じような大きな変革が今後も起きる」とジャフェ氏は強調する。

 ジャフェ氏によれば、すでに様々な企業がHTML5へのシフトを進めている。その代表例としてジャフェ氏は米AT&Tを挙げる。米AT&TはHTML5をベースにモバイルサービスの戦略を書き直したという。「ユーザーにとってモバイルサービスの入り口はWeb。そこでAT&Tはサービスの提供から課金に至るまでの仕組みをHTML5ベースの技術で整備中だ。その上に様々な付加価値を加えていこうとしている」(ジャフェ氏)。

 ほかにも放送、家電、小売、航空、自動車業界、医療、広告業界などで、HTML5を使ってサービスを高度化させる取り組みが進んでいるという。ジャフェ氏は聴講者に対して「Webはイノベーションのプラットフォームとしてますます発展していくだろう。今日、自分のオフィスに戻ったら、自社の戦略企画室に『Webがまた大きく変わる』とその重要性を伝えてほしい」と呼びかけた。