IPTVフォーラムは2012年6月12日、テレビ放送とWebの連携に関する国際シンポジウム「SYMPOSIUM on Web and TV 2012」を総務省と共同開催した。

 W3CでHTML Activity Leadを務めるMichael Smith氏は、現在進行中の次世代HTML標準化作業におけるメディア関連機能について説明した。メディア関連機能として、「video element」「audio element」「Media Source Extensions」「Encrypted Media Extensions」「Web Real-Time Communication(WebRTC)」の5項目が検討されているという。

 「video element」と「audio element」は、これまでプラグインを使って再生していた動画や音声を、プラグインがなくてもWebブラウザーで再生できるようにする機能である。「Media Source Extensions」はJavaScriptを使って、回線の接続状況に合わせて配信ビットレートを調整したり、ライブ配信番組をタイムシフト再生したりする機能である。「Encrypted Media Extensions」は暗号化されたコンテンツの再生機能、「Web Real-Time Communication(WebRTC)」はWebベースのビデオチャット機能によるカンファレンスやゲーム用途を想定している。

 IPTVフォーラム HTML5-WGの藤沢 寛氏は、フォーラムにおけるHTML5対応の検討状況を説明した。2011年12月に通信事業者やサービス事業者、メーカー、放送事業者らの参加でHTML5 WGが発足し、現在対応規格の検討を進めている。WGの目的は、多機能なリッチコンテンツを作れるHTML5をベースにして、日本における放送通信連携サービスの共通基盤技術の検討と仕様の策定にある。

 活動成果として、放送通信連携システムの要求条件や受信機の機能を規定する「放送通信連携システム仕様書」と、HTML5をテレビに適用した際に、テレビサービスを実現させるために必要な仕様書「HTML5ブラウザー仕様書」の二つをまとめることを目標としている。様々な開発者がアプリを開発できる環境を提供するとともに、津波警報など緊急時の報道視聴を妨害しないで放送としての役割を問題なく果たせるように、制御信号に反応して一時的にアプリを非表示にする機能も盛り込んだ。

 今後2012年9月までに、放送連携アプリケーションの仕様策定を中心に作業を進める。その後2012年度内には、放送非連携アプリケーションについても仕様策定する。

 日本放送協会(NHK)の加藤 久和氏は、IPTVフォーラムの家電向けHTML5ブラウザー決定仕様の元となった「ハイブリッドキャスト」の概要について説明した。

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