写真●新ブランド「EINS WAVE」のロゴを掲げるインテック ネットワーク&アウトソーシング事業本部の小川圭一参事マーケティング担当
写真●新ブランド「EINS WAVE」のロゴを掲げるインテック ネットワーク&アウトソーシング事業本部の小川圭一参事マーケティング担当
[画像のクリックで拡大表示]

 ITホールディングス傘下のインテックは2012年6月12日、首都圏・北陸・関西の3地域にあるデータセンターを活用した分散型クラウドサービスの新ブランド「EINS WAVE(アインス ウェーブ)」を発表した(写真)。2012年夏中の本格サービス開始を目指す。

 EINS WAVEは仮想マシン、データバックアップ、認証、デバイス管理、データセンターの場所貸し、サーバー運用など広範なサービスの総称として新たに命名したものだ。ネットワーク&アウトソーシング事業本部の小川圭一参事マーケティング担当は「当社はこれまで、お客様に言われてからシステムを作り始める個別対応を得意としてきた。今後は、既に作ってある機能の中から選んで使いたいというお客様に対して迅速に対応できる体制に変える」と説明した。

 EINS WAVEの目玉に当たるのが、3地域に分散配置したデータセンターを連携させる「バーチャルデータセンター」サービスである。インテックはもともと東京都、富山県、大阪府でデータセンターを運用している。東京では東京電力、富山では北陸電力、大阪では関西電力とそれぞれ業務提携しており、3地域が同時に災害や電力供給の制約を受ける確率は低い。

 インテックはこの立地優位性をさらに生かすために、VPLS(Virtual Private LAN Service)技術を使って3地域を結ぶ高速ネットワークを構築し、あたかも1つのデータセンターであるかのように運営できる体制を整えた。EINS WAVEを利用する顧客企業は3地域に情報システムを分散させて配置することで災害対策を強化できる。例えば東京と富山で同時にシステムを稼働させて頻繁にデータをやり取りするといった運用もできる。

 インテックはデータセンター間接続のため、ブロケードコミュニケーションズシステムズ(東京都千代田区、関連記事)のルーター「Brocade MLXeシリーズ コア・ルータ」「Brocade NetIron CER 2000シリーズ エッジ・ルータ」を採用した。

「アット東京」を継続利用へ

 発表会の質疑応答では、3地域の一角であるアット東京(東京都江東区)のデータセンターの運営継続性について不安視する質問が出た。アット東京は東京電力とインテックの合弁企業。東京電力は自社の持分を売却して福島第一原子力発電所事故の賠償資金に充てる方針となっている。

 これに対してインテックは、「アット東京のサービス水準は高く、今も多くのお客様に利用していただいている。株主が変わっても使い続けたい」(小川参事)と説明した。アット東京のデータセンター建屋は東京電力の変電所などと一体化しており、オーナーが変わっても設備は維持される公算が大きいと判断しているという。