写真1●クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門長 関 洋介氏
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写真2●カスタマーポータルを表示している様子
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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2012年6月11日、ネットワーク仮想化技術を活用した企業向けクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」の提供を6月29日に開始すると発表した。ネットワーク仮想化技術にはOpenFlowを採用している。同社によると、ネットワーク仮想化技術のデータセンター間ネットワークへの適用や、企業向けクラウドサービスとしての展開は世界初だという。

 今回のサービスは、企業がクラウド上のリソースを活用して自社システムを構築するプライベートクラウドに位置付けられる。同社が既に提供を始めているパブリッククラウドサービス「Cloudn」とともに、同社のクラウドサービスの2本柱としていくという。

 同社 クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門長 関 洋介氏(写真1)は、今回のサービスの特徴として、(1)サーバー仮想化に加えて世界初のネットワーク仮想化技術の採用、(2)セルフマネジメント対応、(3)グローバル展開の三つを挙げた。

 (1)について、一般的なクラウドサービスではサーバーリソースを仮想化して提供するのが一般的だが、今回のサービスではネットワークリソースも仮想化して提供する。それらのリソースは1分という短い時間単位の従量課金で利用できる。必要なリソースを必要なときだけを自由に組み合わせられるため、運用コストの削減につながる。

 組み合わせられるリソースは、「コネクティビティ」「ネットワークリソース」「サーバーリソース」の3種類。コネクティビティには、拠点間をつなぐためのイントラネット接続とインターネット接続の二つがあり、イントラネット接続はベストエフォートながら無料となる。ネットワークリソースは、仮想ファイアウォール(1リソース:40Mbps)と仮想ロードバランサー(1リソース:20Mbps)の二つがあり、それぞれリソース単位で増減できる。サーバーリソースについては、一般的なVM数ではなく、リソース単位(CPU:1GHz単位、メモリー:1Gバイト単位、ディスク:50Gバイト単位)のサービスとなり、リソースの範囲内でユーザーが自由にVMを設けることが可能。

 (2)のセルフマネジメント対応について、ユーザー自身がポータルサイトから自由にシステムを構築したり、運用管理したりできる(写真2)。「ポータル機能」としては、グローバルに展開された各種サービスを一元的に管理し、契約情報やアラーム情報を表示する。「コントロール機能」としては、契約リソースの追加・削除、リソース内でのVMの構築・変更・削除、リソースの監視、ファイアウォールやロードバランサーのリソース変更、ポリシー設定などがある。さらに、クラウド移行でのハードルとなるセキュリティとマイグレーションについては、オプションメニューやコンサルティングなどで対応していく。

 (3)のグローバル展開については、海外のデータセンターでも共通仕様でサービスを始める。2012年度中に日本を含む9拠点で展開する予定である。まず2012年6月には日本と香港でサービス開始。12月までにEU、シンガポール、米国(2拠点)で始める。2013年3月までにはオーストラリアとマレーシアでも開始する。

 今回のサービスは、TOTOとHOYAが先行導入している。オンプレミスからクラウド上にサーバーやストレージを統合したことにより、約40%のコスト削減効果があったという。また、仮想サーバーの追加やネットワーク性能の増強にかかるリードタイムについて、従来の5~10日に比べ、セルフマネジメントにより数分で済むようになったとしている。

 サービス構築に利用したインフラについて、仮想サーバーはVMwareを、OpenFlowを使った仮想ネットワークについてはNECのOpenFlow対応スイッチを採用した。OpenFlowコントローラーについては、NECの製品をベースに独自に手を加えたものを利用しているという。

 なお同社は、2012年6月13日~15日に開催される「Interop Tokyo 2012」で今回のサービスを展示する。

発表資料