写真1●飛行機のプロトタイプを披露するOpenReliefプロジェクトのShane Coughlan氏(左)、Karl Lattimer氏(右)
写真1●飛行機のプロトタイプを披露するOpenReliefプロジェクトのShane Coughlan氏(左)、Karl Lattimer氏(右)
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 オープンソースの災害救助ラジコン飛行機を開発するプロジェクト「OpenRelief」が2012年6月8日、発足した。災害発生時に被災地を探索し情報を収集するラジコン飛行機を、オープンソースソフトウエア(OSS)を利用することで1機1000ドル(約7万9000円)以下で実現、ソフトウエアおよびハードウエア設計情報を公開することで自由に作成、商品化可能にする。

 プロジェクトの中心メンバーである香川県在住のShane Coughlan氏、英国在住のKarl Lattimer氏が、同日、横浜で開催されたイベント「LinuxCon Japan 2012」で発表した(写真1)。

2012年中に製品化可能に

写真2●飛行機から撮影した画像の解析のイメージ(OpenReliefの資料より引用)
写真2●飛行機から撮影した画像の解析のイメージ(OpenReliefの資料より引用)
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 すでにプロトタイプの開発を開始している。設計情報が公開されたオープンソースハードウエアであるボードコンピュータArdinoと、オープンソースの自動操縦ソフトArduPilotで飛行機を操作。同じくオープンソースのボードコンピュータであるRaspberry Piで飛行機に搭載したカメラの画像を解析し、人、煙、火災、道路などを認識できるようにする(写真2)。「被災地の情報把握や、取り残された被災者の発見に役立つ」(Coughlan氏)。

 画像認識にはOpenCV、OSはLinuxなどのOSSを利用する。プロトタイプは1000ドル(約7万9000円)以下で作成できたという。2012年7月にはテストを開始し、2012年12月には商品化可能な段階にもっていく計画だ。

 Coughlan氏はオープンソースソフトウエアの著作権や特許などを専門とするコンサルタント。オープンソースソフトウエア支援のための特許管理会社Open Invention Network(関連記事)のアジアでの代理人を務める。

 東日本大震災の2週間後には救援物資を車に積んで被災地に届けた(関連記事)。被災地にたどり着くこと、現地の状況を把握することが困難だったことから、オープンソースを利用したラジコン偵察飛行機の作成を着想したという。

 Karl Lattimer氏は英Codethinkのソフトウエア技術者。Coughlan氏の呼びかけに応えプロジェクトに参加。イギリスで飛行機のボディを組み立て日本まで運んできた。ほかにも、オーストラリア、ニュージーランド、米国など多くの国からメンバーが参加している。

技術者、法律、翻訳、広報など参加者募集

 発表でCoughlan氏らは「多くの人がプロジェクトに参加し、協力してほしい」と呼びかけた。求めているのはBeagleBoardのDSPプログラミング、OpenCVによる画像認識、UshahidiやSahanaといったオープンソースの地図情報システムなどの技術者や、飛行や通信のための法的な手続き、情報の翻訳やプロモーション、テストを支援するボランティアだ。

 また財政面での支援や、開発した飛行機を製品化する企業も募集している。「ソフトウエア、機体の仕様およびデザインは、自由に使用し商品化できる」(Coughlan氏)。すでにGitoriousでソフトウエアのソースコード、SolderPadで設計データの公開を開始している。またOpenReliefの公式サイトでメーリングリストを案内しているほか、FacebookTwitterPinterestでも情報を提供している。

  OpenReliefの紹介ビデオ