写真1●Linuxの仮想マシンを選ぶ画面
写真1●Linuxの仮想マシンを選ぶ画面
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写真2●サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 梅田 成二氏
写真2●サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 梅田 成二氏
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写真3●サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 部長 吉川 顕太郎氏
写真3●サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 部長 吉川 顕太郎氏
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 日本マイクロソフトは2012年6月8日、米国で6月6日に発表したクラウドサービス「Windows Azure」の機能拡張について説明会を実施した。新しい仮想マシンサービス(IaaS)では、OSとしてWindowsのほか、Linuxも提供(写真1)。今年夏から秋に開始する正式サービスでは、Windowsが10.06円/時であるのに対し、Linuxが7.43円/時と26%安価にする予定だ(マシンが共有型で、CPUが1.6GHz、メモリーが1.75Gバイト、ディスクが225Gバイトの場合)。6月6日に開始したプレビューサービスでは、どちらも7円/時である。

 提供するLinuxは、CentOS 6.2、Ubuntu Server 12.04 LTS、OpenSUSE 12.1、SUSE Linux Enterprise Server 11 SP2の4種類。どれも、Linuxディストリビューションを開発するコミュニティーがパッケージを用意して、Windows Azure上にアップしている。

 バージョンアップなどのメンテナンスもコミュニティーが行う。Red Hat Enterpise Linuxの提供も検討しているが、今のところWindows以外のOSについて課金する仕組みが無いため、提供方法を含めて協議中という。

Linux、Mac OS向けの開発キットも提供

 仮想マシンの起動・停止などの管理は、LinuxとMac OS向けに新たに提供する開発キット(SDK)のコマンドラインツールで実施できるようにした。「Windows以外のOSに対して開発キットを提供するのは当社として画期的なこと」(日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 梅田 成二氏、写真2)という。

 仮想マシンの管理は、Windows AzureのポータルサイトからGUIベースで実施することもできる。従来のAzureのポータルサイトは「Silverlight」ベースだったが、今回、HTML5ベースの新システムに置き換えた。「Windows以外の開発環境からも容易に利用できるようにするため」(日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 部長 吉川 顕太郎氏、写真3)である。

 Windows Azureのポータルサイトから、ブログサーバー「WordPress」などのOSSアプリをワンクリックで動かす機能も用意した。Windowsベースの仮想マシン(後述の「Webサイト」)が自動的にデプロイされ、アプリが動作する。WordPressなどのパッケージのメンテナンスも、それぞれのコミュニティーが行う。

最大15カ月間無償で使える

 評価版のアカウントをサイトで申請すると、3カ月間、一定範囲のサービスを無償で使える。無償で使えるのは、1カ月当たり750時間分の仮想マシン(記事冒頭で示したスペックのもの)、「Webサイト」と呼ぶPaaSサービス10台分、1GバイトまでのSQLデータベース(旧SQL Azure)、20Gバイトまでのストレージなど。3カ月を過ぎた後も、10台分のWebサイトを12カ月無償で利用できる(仮想マシンは含まない)。

 Webサイトは、IISを含むWindows仮想マシン上で、.NETのほか、PHP、Node.js、Java、Pythonなどをべースしたアプリを動かせるPaaSである。Linux、Mac OS向けのSDKを使って、GitやFTPでアプリケーションでデプロイすることもできる。Webサイトの無償枠は、ストレージが1Gバイト、RDB(MySQL)が20Mバイト、データ送信がWebサイト全体で165Mバイト/日までなど。

 なおLinux仮想マシンサービスの正式料金(7.43円/時)は、Amazon EC2の東京リージョンの同等マシン(スモールインスタンスで0.092ドル/時)とほぼ同等になる見込み。

オンプレミスとの間で仮想マシンをやり取り

 さらに、Azureで生成した仮想マシンをVHD(Virtual Hard Disk)形式でエクスポートし、ローカルの「Hyper-V」上で動かす機能も追加した。ローカルからクラウドへの移行も可能だ。

 この機能を使うと、Linux上で稼働させている既存アプリをそのままAzureに移行することが容易になる。Azureに移行した既存アプリがWeb、AP、DBの3層で動作しているとすると、例えば、そのうちのWeb層を、AzureのPaaSに移行するのは比較的容易だろう。

 移行すればOSのパッチ適用といったメンテナンス作業から解放される。こうしてLinuxなどで動いている既存アプリを(Windowsベースの)Azure PaaSサービスへ移行しやすくするのが今回の狙いだ。

■変更履歴
当初タイトルで「Window」となっていました。お詫びして訂正します。修正済みです。[2012/6/8 18:00]