凸版印刷とシチズン時計の連結子会社であるシチズンTICは2012年6月6日、従来の白黒に加えて赤色とシアン(青緑色)の2色の表示を可能としたマルチカラー版の大型電子ペーパーサイネージを開発したと発表した。タイル化した電子ペーパーディスプレイを組み合わせて大型化を実現した電子ペーパーサイネージのマルチカラー化は世界初という。

 凸版印刷では、電子書籍端末などに用いられるE Ink方式の電子ペーパー(反射型白黒二値表示)を、タイル化して組み合わせることで大型化した電子ペーパーサイネージを開発済みである。2007年に仙台市交通局の地下鉄に実験設置するとともに、2008年から広告・情報配信を行う「まちコミ」サービスとして商用化している。

 今回は、タイル化により大型化可能な狭い縁(狭額縁)での高精細電子ペーパーサイネージにカラーフィルターを適用する開発に成功、シチズンTICと共同で試作品を作成した。マルチカラー版大型電子ペーパーサイネージの試作品と、72インチ型で13Wと超低消費電力の大型電子ペーパーサイネージ「まちコミ」を、6月5日~7日までボストンで開催される世界最大規模のディスプレイ関連学会・展示会であるSID(Society for Information Display)の台湾E-Ink Holdingsのブースで展示する。

 電子ペーパーサイネージは、消費電力を抑えることができることから、防災用途にも適している。具体的には毎日放送(MBS)のホワイトスペース特区実験に協力し、阪急茶屋町ビルディング(大阪市北区)の屋外に面したショーウィンドウで、放送波によるデータ通信によって情報を更新するサイネージとして、白黒表示の電子ペーパーディスプレイを提供している。放送波連携用の受信機との合計消費電力は40W以下と少ないため、データ通信が途絶した停電時においても、蓄電池で72時間以上放送波を介して最新情報を受信して表示できる。凸版印刷は今後、超低消費電力特性を生かせる防災用途の大型電子ペーパーサイネージを、自治体や商業施設向けに提案していく方針。

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