米Wall Street Journalの技術系情報サイトAll Things Digitalは現地時間2012年6月3日、米Yahoo!と米Facebookが互いに特許を侵害されたとして提訴している問題で、両社が和解に向けて協議していると報じた。事情に詳しい複数の関係者の話として、今後数週間以内に和解が成立し、かつて緊密だった両社の関係はより緊密になる可能性があると伝えている。

 両社間で協議されている主な内容は、広範囲に及ぶ特許のクロスライセンス契約。これにより、両社サービスの相互提供がさらに進み、Yahoo!のサービス向上にとって重要なFacebook機能との統合が進む可能性があるという。

 この特許係争は、学歴詐称問題で2012年5月に解任されたScott Thompson前最高経営責任者(CEO)の行動に端を発する。Yahoo!は3月12日、Facebookのソーシャルネットワーキング・プラットフォームがYahoo!の特許を侵害しているとしてカリフォルニア州の連邦地方裁判所に提訴した。このときThompson前CEOが、勝訴あるいは和解協議が有利に働けば、Facebookから多額の現金を勝ち取れるとし、Yahoo!の取締役会を説得したとされている。しかしその後、FacebookがYahoo!を反訴するなど、訴訟は長期化に及ぶ様相を呈していた(関連記事FacebookがYahoo!を反訴、10件の特許を侵害されたと主張)。

 All Things Digitalによると、Facebookは和解に際してYahoo!が持つ特許を購入する意向があることを示唆しているが、Yahoo!に大金を支払う意向はない模様で、これが和解成立の障壁になる可能性がある。

 Yahoo!に提訴されたことを受け、Facebookは米Microsoftが米AOLから取得した特許の購入費用などで5億5000万ドルを支払っている。Facebookは特許資産の強化目的ですでに多額の資金を投じており、もはや同じ規模の特許買収は考えていないとAll Things Digitalは伝えている(関連記事:Facebook、AOLの特許をMicrosoftから5億5000万ドルで購入へ)。