米Microsoftは、現地時間2012年5月31日にリリースプレビュー版を公開した次期OS「Windows 8」のWebブラウザー「Internet Explorer(IE)10」に関する補足説明を、同日発表した。IE 10では個人情報管理手段「Do Not Track」を初期設定で有効にしているが、広告業界がこれに反発しているという。

 MicrosoftによればIE 10はデフォルトでDo Not Trackを有効にしている最初のWebブラウザーであり、「オンラインにおける信頼と消費者プライバシーを推進させる当社取り組みの重要なマイルストーン」(Microsoft最高プライバシー責任者のBrendon Lynch氏)だと述べている。

 Do Not Trackは、インターネットユーザーがオンライン行動の追跡を拒否できるようにするための手段。米連邦取引委員会(FTC)がプライバシー保護の枠組み提案に同手段の採用を盛り込んでいる。FTCが3月26日に発表した最終報告書では、「2012年末までに効果的で使いやすいDo Not Trackオプションを消費者に提供できるようになると確信している」との見解が示された(関連記事:FTCがプライバシー保護の報告書、データブローカー向け法整備など追加)。

 IEでは2011年2月にバージョン9でDo Not Trackを追加。米Mozillaの「Firefox」や米Appleの「Safari」などもすでに同機能を導入しているほか、米Googleの「Chrome」はサードバーティーの拡張機能を追加することで対応する。また米Twitterも同機能のサポートを表明している(関連記事:Twitter、プライバシー保護機能「Do Not Track」を実装)。

 MicrosoftのLynch氏は、オンライン広告が経済の重要な部分を担っており、多くの消費者はパーソナル化したコンテンツを望んでいる可能性があることを認めた上で、「人々を第一に考えるという信条から、Do Not Trackのデフォルト有効を決定した。消費者は自身のオンライン行動に関する情報がどのように追跡、共有、使用されるかについて、より管理できるようになるべきだ、と当社は確信している」と説明した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると、インターネット広告の業界団体である米Digital Advertising Alliance(DAA)は「Do Not Trackのサポートに合意していたが、デフォルトで有効にしない限りにおいてだった」と主張している。DAAは、Microsoftの決定が合意に反しており、一方的で、多くの懸念を生じさせるとの見解を示し、「広告主は、ユーザーによるポリシーは支持するが、ブラウザー企業1社によるポリシーは支持しない」と反発している。

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