Photo: aaps69/Ebay

初代『iPad』の試作品が『eBay』に出品され、10,200ドルで落札された。

まるで双頭の蛇を目前にしたかのように、Appleファンたちが畏敬の念を抱いたのは、この初代『iPad』の試作品が、ひとつではなくふたつのドックコネクターを備えていたことだ。

あらゆるハードウェア・メーカーがそうであるように、Apple社では数多くの試作品を製作してアイデアを具体化し、製品の耐久性や性能をテストしている。今回明らかになったこの試作品を見たところでは、Apple社はランドスケープ(横長)モードと、われわれになじみのある縦長モードのそれぞれの位置にドックコネクターがあるタブレットをイメージしていたようだ。Apple社が2通りのドック接続ができる機器の特許申請まで済ませていることは注目に値する。

eBayのオークションでは、このiPadは「タッチスクリーンを除いて完全に機能する」という但し書きがあった。出品者によると、ディスプレイのフレキシブル・ケーブルを固定するクリップが紛失していて代替品が見つからず、コネクターに圧力をかけてみると、タッチ機能が使えたり使えなくなったりすると説明している。

ほとんど使い道のなさそうなこのiPadには、ソフトウェアのデバッグに使用されるApple社の『SwitchBoard』スイートが搭載されている。この事実と、ドックがふたつあることで、試作品だという主張に説得力が生まれている。

Apple社の試作品がオークションサイトに出されたのは、これが初めてではない。1995年に作成された『Apple TV』の試作品はeBayで46ドルで落札された。ウサギの耳のようなアンテナが付いた『MacBook Pro』(文末に写真掲載)や、『MacBook Air』の試作品は、2008年にeBayに出品されている。MacBook Airの試作品はその後、改良されたMacbook Airと引き換えにApple社に返され、3Gアンテナ付きのMacBook Proも、eBayの出品者がApple社に返還している。

このiPad試作品は、5月28日(米国時間)に匿名の人物によって落札された。Apple社がこの返還を求めるかどうかについては不明だ。

『MacBook Pro』試作品。画像は別の英文記事より


TEXT BY ROBERTO BALDWIN


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