写真●日本システムプロジェクトのスマートフォン向け3D表示対応保護フィルム「Picasso」
写真●日本システムプロジェクトのスマートフォン向け3D表示対応保護フィルム「Picasso」
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 2012年5月30日から6月1日までの3日間、無線通信関連の展示会「ワイヤレスジャパン 2012」が東京ビッグサイトで開催されている。展示会場の「スマートフォン/タブレット・コア」ゾーン内にある日本システムプロジェクトのブースでは、iPhoneやAndroid端末のディスプレイ表面に貼り付けるだけで、裸眼視3D表示対応のスマートフォンに早変わりするという特殊な画面保護フィルム「Picasso」(ピカソ)を展示。多くの来場者がブース前で足を止めて熱心に見入っていた(写真)。

 Picassoは、フィルムが備えている細かい縦じまのフィルター構造によって、左目で見るべき映像と右目で見るべき映像を分離してそれぞれの目にだけ届けられるようにする「視差バリア」(パララックスバリア)という方式を採用。3Dコンテンツを奥行きのある立体映像として裸眼視できるように作られている。

 実際に、視差バリア方式による3D裸眼視を実現するには、スマートフォンのディスプレイ上に縦じまフィルターに合わせた形で映像を表示させ、これをズレなく見られるようにフィルターを貼り付けなければならない。このため、(1)スマートフォンの端末ごとに形状などを最適化したフィルム、(2)視差バリア方式向けに3Dコンテンツを変換して表示できるアプリ、あるいは変換済みのコンテンツ---という2点が必要になる。

 日本システムプロジェクトでは既に、2012年4月からiPhone 4/4S向けに最適化したPicassoを販売しているが(直販価格は3990円)、ブース内ではこれに加えて韓国サムスン電子のAndroid端末「GALAXY S II」に対応したバージョンのPicassoを展示。近日中に販売を開始する予定であることをアナウンスしていた。同社によれば、前述の2機種以外にも売れ筋のスマートフォンを中心にラインアップをそろえていくことを検討しているという。

 3Dコンテンツ表示用のアプリは3種類用意する。3D写真表示用アプリの「Picasso Cam」、カメラなどで撮影した2D写真を基に擬似的に3D写真を作り出すアプリ「Picasso Photo」、視差バリア方式向けに3D動画の変換機能を備えた動画プレイヤーアプリ「Picasso Movie」である。Picasso Movieのみ170円の有料アプリで、残りの二つは無料アプリとなっている(いずれもApp Storeからダウンロードできる)。

 Picasso Movieは、3D動画フォーマットの一つである「サイドバイサイド形式」(左目用と右目用の動画を画面中央で分割して横に並べた形式)のコンテンツを、視差バリア方式向けフォーマットである「インターリーブ形式」(縦じまに合わせて互い違いに左右コンテンツを並べた形式)にリアルタイム変換して再生する機能を備えている。ユーザーはYouTubeなどで公開されているサイドバイサイド形式の動画をPicasso Movieで再生するだけで、3D動画として見ることが可能だ。

 なお、近日発売予定のGALAXY S II向けPicassoについては、現状このPicasso MovieのAndroid版が開発中のため、発売時点では公開が間に合わない可能性もあるという。ただし、自前でフリーの変換ソフトなどを使ってインターリーブ形式に変換すれば、普通の動画プレーヤーアプリで再生するだけで3D映像として視聴できる。