写真1●京セラブースで実施している「スマートソニックレシーバー」体験デモの様子 周囲の雑音が大きい環境でもクリアーに相手の声が聞こえる
写真1●京セラブースで実施している「スマートソニックレシーバー」体験デモの様子 周囲の雑音が大きい環境でもクリアーに相手の声が聞こえる
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写真2●2台のスマートフォンのディスプレイ上にシリカゲルを乗せ、同技術を搭載したAndroid端末「URBANO PROGRESSO」(写真右)側のシリカゲルのみが振動でこぼれ落ちる様子を見せるデモも実施していた
写真2●2台のスマートフォンのディスプレイ上にシリカゲルを乗せ、同技術を搭載したAndroid端末「URBANO PROGRESSO」(写真右)側のシリカゲルのみが振動でこぼれ落ちる様子を見せるデモも実施していた
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 2012年5月30日から6月1日まで、東京ビッグサイトで無線通信関連の展示会イベント「ワイヤレスジャパン 2012」が開催されている。会場の一角にある京セラのブースでは、ディスプレイ部の振動によって音を伝える新技術「スマートソニックレシーバー」を実際に体験できるコーナーを設置。通りかかった来場者が次々と足を止めて参加していた(写真1)。

 スマートソニックレシーバーは、京セラが持つセラミック技術を応用し、ディスプレイ部に極小の圧電素子を埋め込み、これを振動させることで音を伝える仕組み(写真2)。ディスプレイ部全体が振動して音を伝えるため、ユーザーは「端末を耳に当てる場所」を気にせずに通話できる。従来の携帯電話やスマートフォンのように、特定の受話部分に耳を当てないと音が聞こえないということが起こらない。

 加えて、駅や繁華街の雑踏など周囲の雑音が大きいところでも会話の内容を聞き取りやすくなるといったメリットも得られる。「とにかく端末を持ってディスプレイ部を耳に当てれば明瞭に声が聞こえるので、お年寄りなどが使うのにも適している」(京セラ)。なお、周囲の雑音が大きい環境でも聞きやすくなるのは、振動を利用することに加え、ディスプレイ部が耳をピッタリ覆うことによる遮へい効果も関係しているという。

 振動で音を伝えると聞くと、いわゆる骨伝導が思い浮かぶ。ブース内にいた説明員にどう違うのかを尋ねたところ、「ディスプレイ部を振動させて直接音を発生させ、さらに振動が身体接触部分を通しても音として伝わる仕組みになっており、単純な骨伝導とは根本的に異なる」という答えが返ってきた。実際に同社では、「音と振動で相手の声を伝える」とうたっている。

 同技術は、KDDI(au)が同日(5月30日)発売した2012年夏モデルのAndroidスマートフォン「URBANO PROGRESSO」(アルバーノ プログレッソ)が搭載している。ブース内の体験コーナーで触れられるのも同端末である。一般ユーザーが実機に触れる形で展示するのは今回が初めてだという。