写真1●Net LineDancer 12.03の画面
写真1●Net LineDancer 12.03の画面
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 ロジックベインは2012年6月4日、ネットワーク機器のコンフィグ設定を一元管理するソフトの新版「Net LineDancer v12.03」(写真1)を出荷した。これまでCLI(コマンドラインインタフェース)に対して手動で実施していた管理作業を機械化する。今回の新版では、ターミナル接続したネットワーク機器に対する操作の内容を記録できるようにするなど、コンプライアンス(法令順守)のための機能を強化した。

 Net LineDancerは、ネットワーク機器(ルーターやスイッチなど)ごとの設定(コンフィグ、インタフェース定義やアクセス制御リストなど)を一元管理する運用管理ソフトである。個々のネットワーク機器からコンフィグを収集して、Net LineDancer側でバックアップ/世代管理する。Net LineDancer上で編集/更新したコンフィグを機器に反映することもできる。標準で各社のネットワーク機器を管理できるほか、アダプタを開発すれば、CLIを備えた機器であればどんな機器でも管理できる。

 管理対象のネットワーク機器は、SNMPを使ってディスカバリー(検索/発見)する。これにより、機器ごとに、IPアドレスや製造ベンダー(OSの種類)が分かる。Net LineDancerは、機器に対してTelnet/sshでリモートログインしてCLIコマンドを実行し、コンフィグやハードウエアの構成情報を収集する。構成情報は、PDFやExcelなどのレポートに出力することも可能であり、資産管理に利用できる。

 「ネットワーク機器のパスワードを変更する」といった、ネットワーク機器に対して定期的に実行する作業を、バッチジョブとして定義することも可能である。ジョブはCLIのコマンド群であり、コンフィグ同様にテキストで編集する。バッチジョブでは、変数名を使うことによって、同じジョブを使いつつ機器ごとに異なる値を設定することができる。変数の値(機器ごとに異なる値)は、CSV(カンマ区切り形式)などで与えるか、バッチジョブ実行時にその都度手動で入力する。

フィールド技術者向けと、機能上位のWebアプリの二つを用意

 用途に応じて2種類の製品(エディション)を用意した。「Net LineDancer Portable v12.03」(Portable版)は、フィールドエンジニアがノートPCにインストールしてスタンドアロンで使うエディション。一方、「Net LineDancer Enterprise v12.03」(Enterprise版)はWebアプリケーションであり、複数のユーザーがWebブラウザー(Flash画面)から利用する。シリアル接続など一部機能を除き、Enterprise版はPortable版の機能上位に相当する。

 Enterprise版だけが備えている機能の代表が、スケジュール実行機能である。コンフィグのバックアップ作業やバッチジョブの実行を、あらかじめ設定した時刻に自動的に実施できる。常に最新の情報を維持することによって、コンフィグを含んだネットワーク機器情報のマスター台帳として利用できる。

 Enterprise版ではまた、購入したばかりで何の設定もしていないネットワーク機器を遠隔地のネットワークなどに配置した際に、この機器とNet LineDancerが自動的にIPで通信可能になる機能を持つという。この機能によって、あらかじめ作成しておいたコンフィグを新規のネットワーク機器に転送する作業がやりやすくなる。ただし、同機能を使用可能なネットワーク機器は、米Cisco Systems製に限られるとしている。

コンプライアンス機能を強化

 新版では、コンプライアンスを高めるために二つの機能を追加した。一つは「ターミナル・プロキシ」機能である。ネットワーク機器へのターミナル接続を仲介する。具体的には、端末ソフト(VT100端末エミュレータなど)からNet LineDancerにTelnet/sshでログインした上で、Net LineDancerから個々のネットワーク機器にログインする。アクセス透過型ではなく、対話型(Net LineDancerのシェルプロンプトから接続先を選ぶ)で利用する。

 もう一つの新機能は、その名も「コンプライアンス」機能である。これは、文字列検索によって、コンフィグの記述内容の中に不適切な文字列が含まれているかどうかを調べる機能である。文字列としては、個々の単語を指定することも、コマンドライン行の一部または全体を指定することもできる。一般的な正規表現は使えないが、文字列の中に含まれる任意の文字列を表現する特殊記号などを用意している。

 価格(税別、以下同)は、以下の通り。Portable版は、管理対象50デバイスまでが10万8000円で、管理対象100デバイスまでが14万8000円。Enterprise版は、管理対象50台まで(最小構成)が65万1000円で、管理対象3000台まで(最大構成)が792万円。なお、ネットワーク機器向けのアダプタを受託開発する費用は、40万円。稼働OSは、Portable版がWindows XP/Vista/7、Windows Server 2003/2008。Enterprise版はWindows Server 2003/2008を推奨。