Evernoteは2012年5月29日、「Evernote Devcup Meetup in Tokyo」を東京・品川シーサイドにある楽天タワーで開催した(写真1)。内容は、UX(ユーザーエクスペリエンス)とUI(ユーザーインタフェース)をテーマにした講演、アプリのアイデアについて開発者によるディスカッションなどである。

写真1●Evernote Devcup Meetup in Tokyo
写真1●Evernote Devcup Meetup in Tokyo
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 同イベントは、Evernoteが世界規模で開催しているコンテスト「Evernote Devcup」にあわせて開催している、開発者支援イベント。日本では、2012年5月24日に大阪、同28日に札幌(関連記事)に続く、3回目の開催になる。

 イベントの冒頭、米国本社から来日したパートナーリレーション担当ディレクターの佐藤真治氏は、「EvernoteはすべてのAPIを公開している。Evernote自身が作るアプリも、外部の開発者が作るアプリも同じAPIを使用している」と開発者を重視していることを強調した(写真2)。

写真2●米Evernote パートナーリレーション担当ディレクター 佐藤真治氏
写真2●米Evernote パートナーリレーション担当ディレクター 佐藤真治氏
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 同氏は続けて、Evernote Devcupの概要を紹介した。Evernote Devcupは2011年から実施されているEvernote連携アプリのコンテストで、今回が2回目となる。今回の賞金・賞品総額は10万ドル。日本からの作品に与えられる「Japan Prize」も設けられる。応募作品から選ばれた最終候補者は、8月24日にサンフランシスコで開催される開発者イベント「Evernote Trunk Conference」(同社のブログ)に招待される。

UXとUIは利用シーンや文脈から考える

 佐藤氏の挨拶に続き、デザイナーと開発者のバックグラウンドを持つ2人による、UXとUIをテーマとした講演が行われた。

 一人目は、コンセント代表取締役/インフォメーションアーキテクトであり、武蔵野美術大学、多摩美術大学、産業技術大学院大学の非常勤講師も務めている長谷川敦士氏(写真3)。長谷川氏は「UXとは製品・サービスとユーザーを包含したものであり、UIはその一部」と定義。「UXもUIも、製品・サービスの利用シーンや文脈から考えなければならない」と指摘する。

写真3●コンセント 代表取締役 長谷川敦士氏
写真3●コンセント 代表取締役 長谷川敦士氏
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 UXやUIを構築するための手法として、ユーザーの自宅などを訪問して使い方を観察する「エスノグラフィ調査」、ワークモデル形式での分析、ストーリーボード、顧客の製品・サービスとの接触を時系列で記述するカスタマージャーニーマップ、UXフロー定義に基づくサイト内遷移などを紹介した。

 もう一人の登壇者takram design engineering代表の田川欣哉氏は、NTTドコモの「iコンシェル」「iウィジェット」や無印良品のアプリ「MUJI NOTEBOOK」のUI設計などを手がけたデザインエンジニア(写真4)。MUJI NOTEBOOKはiPadとiPhone向けの予測変換付きの手書き文字入力機能を備えたノートアプリで、Evernoteに情報を保存できる。

写真4●takram design engineering代表 田川欣哉氏
写真4●takram design engineering代表 田川欣哉氏
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 田川氏は、デザインとエンジニアリングという2つの極からの視点を持つことが重要と語る。「エンジニアリングでは難しいことがデザインで解決できることもあるし、逆にデザイン上での問題をエンジニアリングで解決できることもある」(田川氏)。さらに、「製品・サービスの“ストーリー”の変更が解になることもある」と田川氏は指摘する。電球からLEDへの移行をテーマにしたインスタレーション作品「OVERTURE」では、「電球の形をしたLED」を「LEDという子どもを宿した電球」と読み替えることにより、作品を作り上げたという。