写真1●ネットワークコア向けハイエンドIPルーター「7950 XRS-20」
写真1●ネットワークコア向けハイエンドIPルーター「7950 XRS-20」
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写真2●日本アルカテル・ルーセントのマーティン・ジョーディ社長
写真2●日本アルカテル・ルーセントのマーティン・ジョーディ社長
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 仏アルカテル・ルーセントの日本法人である日本アルカテル・ルーセントは2012年5月29日、都内で報道機関向けの説明会を開催し、同社が5月22日(米国時間)に発表したネットワークコア向けハイエンドIPルーター「7950 XRSファミリ」の実機を披露した(写真1)。

 展示したのは、3機種ある7950 XRSファミリのうち、中位機種である「7950 XRS-20」という製品。シャーシ1台でラインカードを20枚収容でき、ラインカード1枚当たりの最大トラフィック処理能力は現状で800Gビット/秒(100Gイーサネット全2重×4ポート)。シャーシ1台当たりでは、実に「16Tビット/秒」もの処理能力を備えている。

 16Tビット/秒と聞いてもなかなか想像しづらいが、例えばDVD1枚(4.7Gバイト)分の映像データなら、わずか0.00235秒で運べる計算。1秒間当たりに転送可能な枚数で換算すれば、420枚以上もの転送能力を有していることになる(実際の通信の際にはヘッダー情報などが加わるのであくまでも計算上の値)。

 こうした超高速転送処理およびシャーシ1台で100Gイーサネットポートを80ポートという高密度実装を可能にしているのが、独自に開発した「FP3」(Flex Path 3rd Generation)と呼ぶ最新のネットワークプロセッサである(関連記事:1チップで400Gbpsに対応するネットプロセッサ、アルカテル・ルーセントが開発)。

 日本アルカテル・ルーセントによれば、同プロセッサを採用したことにより、「従来機種と比べて5倍のポート密度を実現しながら、消費電力は逆に一般的なコアルーターの66パーセントと大幅に抑えることに成功した」(マーティン・ジョーディ社長、写真2)という。最初の製品である7950 XRS-20の製品出荷は、2012年第3四半期(7月~)の予定となっている。

 7950 XRS-20のユニークな点の一つに、2台の同機をシャーシ内の光バックプレーン経由で接続することにより、ちょうど2倍の性能を持つ1台の巨大コアルーターとして利用できるという仕組みがある。実際にこの仕組みを使って2台を接続した構成になっているのが上位機種の「7950 XRS-40」で、100Gイーサネットポートを最大160ポート収容でき、最大32Tビット/秒のトラフィック交換能力を持つ。同機種の製品出荷は2013年上半期の予定である。

 3機種のうちの下位機種に位置付けられる「7950 XRS-16c」は、100Gイーサネットポートを最大32ポート収容可能で最大6.4Tビット/秒のトラフィック交換能力を備えている。こちらも7950 XRS-40同様に、製品出荷は2013年上半期の予定となっている。