米Hewlett-Packard(HP)内でHTML5ベースのアプリケーションフレームワーク「Enyo」を手がけるチームが近いうちに米Googleに移籍すると報じられたことを受け、Enyoチームは現地時間2012年5月25日、一部主要メンバーが去ったことを認める声明を公式ブログで発表した。しかし設計および指揮を担うメンバーの大半は残っているとして、チームの今後の拡大を強調した。

 Enyoは、HPが2010年7月に米Palmを買収した際に獲得したモバイルプラットフォーム「webOS」向けに開発されたアプリケーションフレームワーク。HPはwebOS搭載のタブレット端末「HP TouchPad」を2011年7月にリリースするとともにwebOS事業への注力を進めたが、期待ほど伸びず、8月にwebOSデバイスの開発打ち切りを発表し、12月にwebOSをオープンソース化する方針を明らかにした(関連記事:HP、「webOS」のオープンソース化を明らかに)。2012年1月には、webOSオープンソース化のロードマップを明らかにし、第1段階としてENYOのソースコードを公開した(関連記事:HPがwebOSオープンソース化のロードマップを発表、9月の正式版公開を目指す)。

 EnyoチームのGoogleへの移籍を報じた技術関連メディア「Verge」は、「EnyoチームがGoogleで何に取り組むかは分からない」とした上で、モバイルプラットフォーム「Android」やWebブラウザー「Chrome」などを候補に挙げた。同メディアによると、Enyoチームから脱けたメンバーは、コードの99%に関与していたという。

 Enyoチームは現在、次のリリースに向けた作業に取り掛かっており、「Onyx」ウイジェットセットの拡大を図るという。また、今月初めに告知した人材募集では、脱けたエンジニアを補充するだけでなく、メンバーを増やしてチームを増強すると説明している。

 なおHPは5月23日に、全従業員の8%に当たる2万7000人を2014会計年度末(2014年10月末)までに削減するリストラ策を発表している(関連記事:HPの2~4月期決算、3四半期連続の減収減益、2万7000人を削減へ)。

[発表資料へ]