NECカシオモバイルコミュニケーションズは2012年5月24日、メキシコ最大手の携帯電話事業者、Radiomovil Dipsa向けに「MEDIAS」ブランドのスマートフォンの供給を始めると発表した。同社は2011年度の国内携帯電話出荷台数シェアで7位と不振が続くが(関連記事)、海外展開を強化して巻き返しを図る考えだ。

 Radiomovil Dipsaの携帯電話サービス「Telcel」(テルセル)向けに納入するスマートフォン「MEDIAS NEC-101T」は4型液晶ディスプレイ搭載のAndroid機。厚さ8.2mmの薄型で、防水・防塵性能に優れる。販売は6月を予定する。

 Radiomovil Dipsaは「Telcel」ブランドでメキシコに9万店舗以上の販売網を所有しており、契約数シェアは7割以上を占める。メキシコの携帯電話普及率は2011年末で約87%とまだ伸びしろがあり、スマートフォン市場は全体の約2割強の約800万台。2012年は同3割の1300万台に拡大する見通しで、薄型・防水・防塵の特長を打ち出して出荷台数の上積みを狙う。Radiomovil Dipsaは中南米の大手通信事業者であるAmerica Movilの傘下にあり、同グループを通じた南米進出ももくろむ。

 NECカシオの2011年度の携帯電話出荷台数は420万台。期初は740万台を目標としていたが、2度の下方修正を余儀なくされた。2012年度も大手携帯電話事業者3社の夏モデルで採用されたのはNTTドコモ向けの1機種のみと厳しいスタートとなっており、海外出荷を少しでも増やして年度目標の500万台を達成させたい考え。

 同社は米ベライゾン向けに「G'zOne」ブランドの携帯電話やスマートフォンを供給しているほか、3月に法人向け端末で中国に、4月には「MEDIAS」ブランドのスマートフォンでタイにそれぞれ進出を果たした。11年度に3割強だった海外出荷台数比率を12年度には4割に引き上げる計画だ。