ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の「BMLinkSプロジェクト委員会」は2012年5月22日、都内で報道機関向けの発表会を開催し、複合機を中心とするオフィス内機器の相互接続用規格である「BMLinkS」(Business Machine Linkage Service)を拡張する最新仕様書を公開したことなどを発表した(写真1)。
公開した仕様書は、「オフィスデバイス管理標準 V2.0.0」と「情報マーキングシステム標準 V2.0.0」の二つ。オフィスデバイス管理標準 V2.0.0は、電力の「見える化」(可視化)および制御を実現するためのプロトコルや、オフィス内の様々な機器の統合管理を可能にする管理フレームワークなどを新たに規定。情報マーキングシステム標準 V2.0.0では、情報漏洩対策などに役立つ「印刷物やスキャンデータの詳細な来歴管理」を実現するための技術仕様を新規に定めている。
仕様書は、同日付けでBMLinkSプロジェクトのダウンロード用Webページから無償でダウンロードできる(アンケートへの回答が必要)。同最新版仕様に準拠したアプリケーションを開発するために必要となるSDK(Software Development Kit)についても、7月に新バージョンの無償配布を開始する予定となっている。
オフィス内のあらゆる機器から電力情報を取得可能に
オフィスデバイス管理標準 V2.0.0を使うことで実現する電力の見える化では、異なるメーカーの機器が混在する一般的なオフィス環境において、それぞれの機器から「総電力使用量」や「モード別時間」(稼働中/レディ/スリープ/電源オフ)、「TEC値」(Typical Electricity Consumption、省エネルギー性能の指標を示す値)、「モード別電力」などの情報を統一された手順およびフォーマットで取得可能にする。
また、「管理系フレームワーク」として、(1)Javaを使って機器から電力情報を取得するためのAPI、(2)BMLinkSに対応していない機器をプラグインモジュールの追加によって接続可能にするインタフェース---などを新たに策定。これらによりソフトウエアベンダーは、BMLinkS非対応の機器も含め、オフィス内機器の電力使用状況をまとめて可視化できる統合管理用アプリケーションを開発しやすくなった。
機器から電力使用量などの情報を一方的に受け取るだけでなく、個々の機器に対して管理ツール側からコマンドを送り、消費電力削減のための制御を可能にする仕組みも用意している。会場では実際に、BMLinkS対応の複合機と非対応複合機を2台ずつ並べ、上記管理系フレームワークを利用するツールを使って各複合機からモード別時間情報などを取得。取得した情報を基にグラフを作成して節電の余地が大きい機器を見つけ出し、該当機器を遠隔制御でレディモードからスリープモードに移行させて消費電力を抑えるというデモを披露していた(写真2)。
今回、BMLinkSにこうした電力の見える化および制御のための仕様を追加したことについて、同プロジェクト委員会では「以前からCO2削減や森林保護といった企業の環境保護への取り組みに対応する必要があったことに加え、東日本大震災を契機として、オフィスの電力消費を抑制したいという社会的ニーズが一気に高まった」ことを理由として挙げている。