写真●日本IBMのヴィヴェック・マハジャン専務執行役員
写真●日本IBMのヴィヴェック・マハジャン専務執行役員
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 日本IBMは2012年5月17日、スマートフォンやタブレット端末用アプリケーションを開発・運用するためのソフトウエア「IBM Mobile Foundation V5.0」の販売を開始した。「企業のIT部門にとって、モバイル対応は最も重要な課題。それを支援する」と、ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン専務執行役員は話す(写真)。

 Mobile Foundationは、主に三つの機能で構成される。「アプリケーション開発」「クラウドや基幹系システムとのデータ連携」「端末管理」である。これらにより、スマホやタブレットのアプリ開発から運用までを一元的に支援する。

 アプリケーション開発の機能として提供されるのは、「IBM Worklight V5.0」である。Mobile Foundationの1機能としてだけでなく、単体製品としても販売する。HTML5やJavaScript、CSSを使ってアプリを開発すると、それをWebアプリケーションとして動作させることはもちろん、端末上で動くネイティブのアプリケーションとして実装することもできる。

 オープンソースの開発環境「Eclipse」にWorklightのプラグインを組み込んで使う。コードを書き、機能や動作をテストした後、ターゲットとする端末向けにアプリを生成する。AndroidやiPhone、iPad、Windows Phoneなどに対応する。ただしiPhoneとiPad向けのアプリについては、iOS向け開発ツール「Xcode」と連携する必要がある。

 開発したアプリやすでに端末に配布済みのアプリは、「Worklight Server」で管理する。Worklight ServerはWebブラウザーで操作できる管理サーバーで、アプリを遠隔からバージョアンアップさせたり、アプリを起動できないようにしたりする機能もある。

 Mobile Foundationの2番目の機能である、クラウドや基幹系システムとの連携は、Worklight Serverが中心的な役目を果たす。Worklight Serverは、クラウドと自社システムの通信を中継するソフトウエア「WebSphere Cast Iron」と連携するモジュールを搭載する。スマホやタブレット端末のアプリ向けに、クラウドサービスや自社システムのデータを変換して送信する機能を提供する。スマホやタブレット端末向けに、クラウドや自社システムのデータをプッシュ送信するAPIも提供する。

 3番目の端末管理機能は、MDM(モバイルデバイス管理)ソフト「IBM Endpoint Manager」として提供する。端末の位置情報や導入されているアプリの情報が遠隔から把握できるほか、紛失時にはデータを消去することが可能である。

 出荷開始は6月16日。価格は、BtoEのように端末の台数が決まっているEnterprise Editonが、1281万4500円から。BtoCのように不特定多数の端末を想定する場合はConsumer Editionとなり、2696万6000円から。ただしConsumer Editionには、端末管理のEndpoint Managerは付属しない。

 Worklight単体の価格は、Enterprise Editionが495万5900円から、Consumer Editionが2154万5000円から。