写真1●イージェネラ、代表取締役社長の大木稔氏(左)、ユーザーである大和総研、専務取締役の鈴木孝一氏(中央)、NEC執行役員の丸山隆男氏(右)
写真1●イージェネラ、代表取締役社長の大木稔氏(左)、ユーザーである大和総研、専務取締役の鈴木孝一氏(中央)、NEC執行役員の丸山隆男氏(右)
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 イージェネラは2012年5月17日、物理サーバーを仮想サーバーのように動的に扱えるようにするリソース管理ソフト「PAN Manager」の製品ロードマップを発表し、2012年末から2013年初頭にかけてマルチベンダー環境で利用できるようにすることを明らかにした。2013年時点で、少なくとも米Hewlett-Packard、米IBM、NEC、富士通の4社の混在環境で利用できるようになる。

 PAN Managerとは、物理と仮想が混在したサーバー資源をリソースプールと見なして、必要な時に必要なサーバー資源をアプリケーションに割り当てるためのソフトである。特徴は、仮想サーバーを動的に割り当てるのと同様のことを、物理サーバーで実施できる点である。物理的なサーバー機の単位や、サーバー機の上で動作する仮想サーバーの単位で割り当てることができる。

 PAN Managerは今後、マルチベンダー環境を実現していく。まずはじめに、複数のブレードサーバーきょう体を単一のリソースプールとして扱えるようにする拡張機能「PAN Domain Manager」を、2012年夏に出荷する。続いて、2012年末から2013年初頭にかけて、PAN Managerの最新版「PAN Manager 7」が稼働する環境(2012年5月現在はHP、IBM、NECの3社。2013年に富士通が加わる)が混在したマルチベンダー環境を、単一のリソースプールとして扱えるようにする。

DELL/富士通/HP/IBMに続き、NEC向けを7月に出荷

 これまでも、PAN Managerは、稼働プラットフォームを拡大するかたちで進化してきた。自社製サーバー向けのほか、米DELL向けのOEM供給(デルが「DELL PAN System」として販売)、富士通向け(パナソニック電工インフォメーションシステムズが販売)、米HP向け(イージェネラが販売)、米IBM向け(イージェネラが販売)、NEC向け(NECが販売)がある。

 このうち、HP、IBM、NEC向けの3つについては、最新版の「PAN Manager 7」が提供されている。最新版の第一弾は、2011年5月に販売開始したHP向け。2012年5月10日には、IBM向けを発表/販売開始した。2012年5月17日には、国内で記者発表会を開き、今後のロードマップを明らかにするとともに、2011年10月に発表済みのNEC向け製品「PAN Manager Software for NEC SIGMABLADE System」の販売開始時期が2012年7月中旬になることを発表した(写真1)。

I/O仮想化を外出ししたPAN 7のマルチベンダー化を進める

 この最新版の特徴は、従来版においては独自のハードウエア機構やソフトウエア技術を用いて実現してきたI/O仮想化機能を廃して、代わりにサーバーベンダーが用意したI/O仮想化機構をAPI経由で利用するようにしたこと。米Egenera側でI/O仮想化機能のためのドライバーソフトウエアを作成する必要がなくなった。

 この最新版のPAN Manager 7を対象に、前述したPAN Domain Managerによる複数きょう体の一元管理とマルチベンダー化を実現していく。これまでは、DR(災害復旧)用のミラーリング機能を除けば、リソースの共有は1台のきょう体内に限られていた。これに対して、PAN Domain Managerでは、最大で16台のマルチベンダーきょう体(256ノード)を、単一のリソースプールとして扱える。きょう体をまたいだフェールオーバーも可能である。

 なお、PAN Domain Managerは、最新版のPAN Manager 7でなければ利用できない。ところが、DELLと富士通については、2012年5月時点でPAN Manager 7が提供されていない。DELLについてはまだ未定だが、2013年には富士通向けにPAN Manager 7が提供される予定という。これにより、2013年時点で、少なくともHP、IBM、NEC、富士通の4社が混在した環境で利用できる。

物理/仮想の混在環境でクラウド運用ソフトを利用可能に

 なお、マルチベンダー環境のほかにも、PAN Managerには、クラウド運用ソフトの提供や既存のクラウド運用ソフトとの連携が予定されている。仮想サーバー環境のプロビジョニング(配備)を自動化するクラウド運用ソフトと同じことを、物理サーバーと仮想サーバーが混在した環境で実現できるようにする予定である。従来、PAN Managerでは、サーバーとI/Oの割り当てに限って提供してきたが、より上位のレイヤーでクラウド環境の運用負荷を軽減する運用管理ソフト群を提供していく。