写真●2012年3月期連結決算を発表する鈴木幸一社長
写真●2012年3月期連結決算を発表する鈴木幸一社長
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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2012年5月15日、2012年3月期連結決算を発表した。売上高は前年度比18.1%増の973億1500万円、営業利益は同53.4%増の63億5300万円だった。2010年9月に買収したIIJグローバルソリューションズ(米AT&Tの企業向けデータ通信サービス事業)が通年で寄与した結果、大幅な増収増益となった。

 スマートフォンの普及拡大を受け、法人向けのインターネット接続サービスで広帯域の契約が増加。2月開始のLTEサービス「IIJmio高速モバイル/Dサービス」(関連記事)も好調で、契約数は4月末時点で約1万3000件に増えた。アウトソーシングサービスでもセキュリティ関連やホスティングが堅調に伸びた。SI事業は大口案件がなかったが、中規模案件の増加でほぼ前年度並みの売上高を維持した。

 クラウドサービス「IIJ GIO」の案件数は3月末で約1100件。一般事業法人の案件が徐々に伸びており、大口ゲーム顧客のサーバー利用台数も増えている。2012年3月期の売上高は31億円。月次の売上高は3月実績で3億7000万円まで伸びており、2013年3月期は70億円超の売上高を目指す。現状は設備投資が先行して赤字だが、2013年3月期は通期黒字化も計画する。

 3月には米国でクラウドの新サービスを始めたほか、中国でも現地通信大手の中国電信(チャイナ・テレコム)と提携してサービス提供の準備を進める。鈴木幸一社長(写真)は「一時は海外事業の急拡大は難しいとの印象もあったが、顧客の投資は積極的でかなりの需要を見込めるのではないか」と期待を示した。大手SNSの利用が多いことについては「大きな影響はない」(同)とした。

 2013年3月期の業績予想は売上高が前年度(2012年3月期)比10.0%増の1070億円、営業利益が同18.0%増の75億円。赤字が続くトラストネットワークスのATM運営事業は2011年度も2億円程度の赤字だったが、2012年度は確実に黒字転換して業績に寄与するようになるとの見通しを示した。