写真1●KDDIの田中孝司社長
写真1●KDDIの田中孝司社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●スマホ上でビデオパスの画面を表示しているところ
写真2●スマホ上でビデオパスの画面を表示しているところ
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●スマホ上でうたパスを利用しているところ
写真3●スマホ上でうたパスを利用しているところ
[画像のクリックで拡大表示]

 携帯各社の先陣を切って2012年5月15日に夏モデルを発表したKDDI(関連記事)。夏モデルの発表会という位置付けだが、説明の大半を、同社のスマートパス構想(関連記事)の第2ステップである「ビデオパス」「うたパス」に費やした。

 同社の田中孝司社長(写真1)は、発表会後の囲み取材の中で「だんだんユーザーのニーズが変わってきて、スマートフォン単独では満足いただけなくなっている。スマホでできることを提案しないといけないと考え、このような発表会の形になった」と話す。昨年の「グローバルモデルのスマートフォンをいち早く市場に出し、『選べる自由』(関連記事)を前面に押し出す」という戦略から打って変わって、もう一度、端末にサービスを足していく戦略へとシフトしている姿勢を鮮明にした格好だ。

タイトル数だけを揃える時代は終わった

 今回の発表会の主役とも言える「ビデオパス」「うたパス」について、田中社長は「タイトル数だけを揃える時代は終わった。いかに質を高めるのかにこだわった」と強調する。

 ビデオパスは、月額590円で映画、ドラマ、アニメ、音楽などが同社のスマホやPC、タブレット端末で見放題となるサービス(写真2)。タイトル数は当初3000番組程度だが、KDDIはその数字はあえて表に出していない。「我々の調査ではタイトル数だけではユーザーは満足しない。やはり新作を求めている」(田中社長)として、タイトル数よりも新作を見られる点を売りにする。レンタルDVDと同じタイミングで毎月1本、月額590円の定額内で新作映画を見られるようにした。

 ビデオパスでは、デバイスをまたいで視聴の途中から再生できる機能も搭載する。夏からは、Android 4.0搭載のセットトップボックス「Smart TV BOX」でも利用できるようにしていくという。発表会では、HuluやNTTドコモの「BeeTV」、ソフトバンクモバイルの「ムービーLIFE」と比較し、ビデオパスの優位性を強調する場面もあった。

 月額315円で音楽が聞き放題となる「うたパス」(写真3)は、ソーシャル機能を充実させた。友だちが今、聴いている音楽を聴ける「ソーシャルフォロー」機能がそれだ。音楽再生中にチャットできるほか、Facebookとの連動機能も備える。

 田中社長は「この時期を待ってサービスを投入した。いろんなユーザーのニーズの違いを満足させるのがぼくらの仕事」と強調する。

LTEは「4G LTE」というサービス名で前倒し開始

 ビデオや音楽の定額サービスを本格的に開始すると、ネットワークへさらに負担が掛かる。今回の発表会では、同社のネットワークへの取り組みについても言及。「数やカバレッジではなく、いかに品質を守っていくかに力を注ぐ」(田中社長)とした。

 具体的には4月に導入を開始した「EV-DO Advanced」(関連記事)や無線LANオフロードなどを紹介。無線LANについては、混雑が進む2.4GHz帯から5GHz帯への対応を急ぐ(関連記事)。今回、発表したスマートフォン5機種については、うち4機種が5GHz帯の無線LANに対応しているという。先日、当初計画の2012年12月から前倒しの導入を表明したLTEについては、この日「4G LTE」というサービスブランド名を初披露。年度末に実人口カバー率約96%を目指す計画を示した。

 このほか、スマホの信号受信間隔を最適化し、電池の持ち時間を約2倍に向上する取り組み(関連記事)についても紹介した。

ビデオパスの発表資料

うたパスの発表資料

■変更履歴
最後から2段落目で「今回、発表したスマートフォン5機種については、すべて5GHz帯の無線LANに対応しているという」としていましたが、正しくは「今回、発表したスマートフォン5機種については、うち4機種が5GHz帯の無線LANに対応しているという」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/5/16 18:10]