写真1●Atlantis ILIO Diskless VDI Ver3.2の画面
写真1●Atlantis ILIO Diskless VDI Ver3.2の画面
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 ネットワールドは2012年5月15日、仮想デスクトップ環境(VDI)の体感性能をRAMディスクで高速化する製品の新版「Atlantis ILIO Diskless VDI Ver3.2」(写真1)を発表した。新版では、より少ないメモリーで、より高速に利用できるようにした。ハードウエアを含まないライセンスのみの価格(税別)は、25ユーザー当たり26万2500円。開発会社は、米Atlantis Computing。

 Atlantis ILIO Diskless VDIは、VDI環境(VMware View/Citrix XenDesktop)におけるストレージアクセスを高速化する製品である。ハードディスク(外部接続の共有ストレージ)の代わりに、メインメモリー上に用意したRAMディスクをストレージとして利用する。これにより、仮想デスクトップの起動時にシステムイメージをストレージから読み込む時間などを短縮する。ただし、一つの仮想デスクトップイメージを複数ユーザーで共有する使い方に限られる。

 仮想アプライアンスの形態で実装している。動作プラットフォームとして、CPU当たりの搭載メモリー容量が大きいPCサーバー「Cisco UCS」(ブレード型のUCS B230 M2の場合に、CPUコア×20、メモリー512Gバイト)とセットで販売する。このPCサーバーは、Atlantis ILIO Diskless VDIの実行環境であると同時に、個々の仮想デスクトップの実行環境(VDI環境)を兼ねる。PCサーバーとライセンスのセット価格は、1ユーザー当たり6万円程度になる。

 今回の新版では、RAMディスクの使用効率やアクセス性能を向上させるために、新たに二つの技術を搭載した。

ユーザー当たりのRAMディスク領域を半減、クローン生成も高速化

 (1)一つは、データ圧縮機能である。VMware Viewのリンククローンのサイズを、従来の半分程度の約500Mバイトへと減らした。これにより、1台の仮想デスクトップに必要なストレージ領域(RAMディスクとなるメインメモリー容量)を減らした。なお、リンククローンとは、個々の仮想マシンイメージのことであり、共有マスターイメージを参照するためのポインター情報と、マスターイメージとの差分情報で構成する。

 (2)一つは、仮想デスクトップイメージを複製する速度の改善である。新版では、仮想デスクトップ当たり5秒程度で複製を作成できるようにした。例えば、仮想デスクトップが100台あった場合、500秒(8分20秒)程度で100台分のシステムイメージを生成できる。従来は、複製の生成には、速い場合でも仮想デスクトップ当たり分単位の時間がかかるのが普通だったという。

 なお、Atlantis ILIO Diskless VDIは、ベースとなった「Atlantis ILIO」(関連記事)の機能限定モデルに相当する。前提となるAtlantis ILIOは、仮想デスクトップイメージを格納しているストレージの前段に配置することで、ストレージI/Oを最大で10分の1に削減するアクセラレータ装置である(仮想アプライアンスとして実装)。大容量ブロックでのシーケンシャルアクセスやNTFS向けライトキャッシュ、インライン重複排除などの手法で高速化する。VDIシステムからは、Atlantis ILIOがストレージ(NFS/iSCSI)に見える。